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LTV・NPVで考える。赤字に対する解釈を考える

2025.07.17  ·  更新: 2025.07.23
LTV・NPVで考える。赤字に対する解釈を考える

同じ赤字でも見る人が見れば、解釈は変わってきます。赤字が正当化されるケースとそうでないケースを考えてみましょう。自社が赤字の場合は、その赤字が正当化されるのか否か考えるきっかけになればと思います。またこの視点は、株式市場での価値評価にも直結してきますのでみなさんの銘柄選定の参考にもなると思います。

1. LTV・NPV視点で赤字が「正当化」されるケース

LTV(LifeTimeValue)とは?

LTV(顧客生涯価値)= 顧客が取引期間中にもたらす利益の総額

LTV > CAC(顧客獲得コスト)であれば、短期的な赤字でも投資回収の見込みがあるとされます。
※CACとは、一人のお客さんを獲得するのに必要なコスト

NPV(Net Present Value)とは?

NPV = 将来のキャッシュフローを現在価値に割り引いた合計(投資金額を差し引いたもの)

NPV > 0 であれば、投資として「正しい」判断とされます。

LTV、NPVが高くなるための前提

有効なビジネスモデル例


2. 黒字化できない(正当化できない)構造的なビジネスモデル・ケース

長期で見ても利益が出ない、あるいはLTV > CACにならない構造的な問題を抱えているモデルもあります。

限界利益率が低いモデルの問題点

限界利益率とは?

限界利益(売上 − 変動費)÷ 売上高

上記の式で現れます。

限界利益とは、商品やサービスを販売した際に直接得られる利益で売上と連動して増減するもの。
売上高から変動費を差しひくことで求めます。

限界利益率は、売上に対する、限界利益の割合です。

この比率が低いと、いくら売っても固定費を回収しきれない、あるいは広告費を回収できない構造になります。

基礎用語については下記が参考になります。

https://www.yayoi-kk.co.jp/kaikei/oyakudachi/marginal-profit

限界利益率が低いとどうなる?

典型例:

薄利多売ビジネスモデルは消費者には良いのですが、運営する側はコスト高との戦いになりがちです。
地方のカフェなどは、利益度外視でやっているところが多く、回転率だけが高くなるとそこにいるスタッフは疲弊します。


3. 正当化されるモデルと黒字化困難なモデルの比較

特徴正当化される赤字モデル黒字化困難なモデル
収益構造LTV > CAC、NPV > 0が見込めるLTV < CAC、NPV < 0が続く
限界利益率高め低め(もしくは赤字)
顧客継続率高い(粘着性あり)低い(1回きり)
スケールメリット固定費の吸収が可能スケールしても利益が出ない
代表例Amazon初期、SaaS、モバイルゲーム飲食系デリバリー、EC単発利用

4. なぜ同じ赤字でも混同されやすいのか?


5. 解決のために必要な視点


結論

・単年度で赤字だからといって即NGではありませんが、「LTVが積み上がる構造があるか」「限界利益率が十分にあるか」は明確に分けて議論すべきです。

限界利益率が低いモデルは、どれだけ顧客を獲得しても黒字化は難しく、LTVやNPVで正当化するのは錯覚であることが多いです。

・自分たちのビジネスの目的、ビジネスモデル、働き方を考え、ビジネス運営をすべきです。上記で解説した視点は、あくまでも経済的な価値だけを評価する視点です。近年はWell-beingの議論も行われています。幅広い視点で、主体的な目的をもって運営をおすすめします。

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