この記事はこんな人におすすめ
- スタートアップや中小企業で採用戦略に悩んでいる経営者
- DXや新規事業で人材不足に直面しているマネージャー
- 正社員と業務委託、どちらを選ぶべきか判断に迷っている方
- コストを抑えながら即戦力を確保したい人事・経営企画担当者
記事の概要
深刻な人材不足の時代、企業は「正社員を雇うべきか?」「業務委託を活用すべきか?」という選択に直面しています。正社員は組織の中核を担う安定したリソースですが、コストが高く柔軟性に欠けます。一方で業務委託は専門性や柔軟性を確保できますが、組織へのコミットメントやナレッジ蓄積に課題があります。本記事では、両者のメリット・デメリットを比較し、状況別にどちらを選ぶべきかの判断軸を解説します。
この記事を読むと変わること(Before / After)
Before | After |
---|---|
正社員と業務委託の違いが曖昧 | メリット・デメリットが整理できる |
なんとなくで採用を決めている | 自社の状況に合わせて合理的に選択できる |
人材不足に対応できていない | 即戦力確保や長期的成長に合わせた人材戦略を描ける |
正社員を雇うべきか?
メリット
- 長期的な育成・組織文化の醸成が可能
- 社内にノウハウが蓄積される
- 高いコミットメントを期待できる
- 社会保険などを含む安定的な雇用で人材定着に繋がる
デメリット
- 人件費・社会保険料など固定費が高い
- 採用から戦力化まで時間がかかる
- 経済環境の変化に柔軟に対応しづらい
業務委託を雇うべきか?
メリット
- 必要なスキルを必要な期間だけ活用できる
- 採用コストを抑えられる
- リモートや副業人材など柔軟な契約が可能
- 最新の知識や専門性を持つ外部人材を活用できる
デメリット
- 組織への帰属意識やコミットメントが低い
- ノウハウが社内に蓄積されにくい
- 契約終了とともに人材が抜けるリスク
- 長期的なチームビルディングには不向き
正社員と業務委託の比較表
項目 | 正社員 | 業務委託 |
---|---|---|
コスト | 固定費が高い | 変動費で調整可能 |
スキル | 幅広く習得可能 | 専門性に特化 |
柔軟性 | 低い | 高い |
組織文化 | 醸成しやすい | 関与が限定的 |
ノウハウ蓄積 | 社内に蓄積されやすい | 社外に流出する可能性あり |
税金対策の観点からみた正社員と業務委託の違い
正社員を雇用する場合
- 社会保険料の負担
- 企業は健康保険・厚生年金保険・雇用保険などを 半額負担。
- これらは「人件費」として損金算入できるが、固定的コスト になる。
- 給与所得控除は社員側にメリット
- 社員個人にとっては給与所得控除や社会保険料控除があるため税制上有利。
- 企業にとっては「福利厚生が充実している会社」として人材定着のメリットにつながる。
- 退職金制度も損金算入できる
- 正社員向けに退職金を積み立てる場合、企業の損金として計上可能。
- 長期雇用前提の企業では、将来の節税策となる。
業務委託を活用する場合
- 報酬は「外注費」として計上
- 外注費は全額「損金算入」が可能。
- 社会保険料の企業負担は不要。
- 源泉徴収が必要なケースもある
- フリーランスへの支払いは、報酬の10.21%を源泉徴収し、税務署に納付1
- 年末調整の必要はなく、企業側の事務負担は比較的少ない
- 消費税の取り扱いに注意
- インボイス制度により、課税事業者のフリーランスに支払う報酬は「消費税仕入税額控除」の対象
- 一方、免税事業者への支払いは控除できず、結果的に税負担が増す場合がある
税金対策の観点からの判断軸
- 固定費を抑えたいか、変動費で対応したいか
- 正社員:社会保険料や給与は固定費
- 業務委託:プロジェクトごとに変動費化できる
- インボイス制度への対応
- 正社員:影響なし
- 業務委託:発注先が免税事業者だとコスト増の可能性
- 長期的な節税メリットを取るか
- 正社員:退職金制度や厚生年金負担で長期の節税策あり
- 業務委託:即時に損金算入できるシンプルな経費処理
どちらを選ぶべきか?判断軸
- 事業のステージ
- 初期フェーズ:業務委託で即戦力を確保
- 成長フェーズ:正社員で組織の基盤を固める
- 必要なスキルの種類
- 一時的・専門的なスキル:業務委託
- 継続的・総合的なスキル:正社員
- 予算とリスク許容度
- 安定的な人件費を負担できる:正社員
- 不確実性が高く変動費で対応したい:業務委託
市場変動、業績悪化時に雇用をすぐに切るのが難しい風潮があります。諸外国から見れば、制度上は緩いとのデータもありますが、制度ではなく、解雇は経営者の心理的な負荷があるからでしょう。そのため、収益は減っているが、人件費は高まり利益率の低下、キャッシュフローのアウトという事態に陥りがちです。
あとからそのような状況に陥らないため、自社のステージ、必要スキル、キャッシュフロー動向を見て検討しましょう。
税理士のスガハラさん動画も参考にしてください。
ハイブリッド戦略という選択肢
近年は「正社員+業務委託」を組み合わせた ハイブリッド型人材戦略 が増えています。
- コア業務や組織運営 → 正社員
- 専門性やプロジェクト単位の業務 → 業務委託
このモデルにより、柔軟性と安定性を両立することが可能です。
また業務委託を使用する際は、できる限り社内にドキュメントを残すよう意識したりし社内ノウハウの育成にも気を使ってくれる人材を選ぶと良いでしょう。
業務委託に募集をかける方法【体系的まとめ】
業務内容と条件を明確化する
まずは「何を任せたいのか」を明確に定義します。
- 業務範囲:具体的なタスク(例:Web広告運用、記事執筆、システム開発、ウェブサイト分析)
- 成果物・納品物:KPIや納品基準を明確化
- 期間:短期/中期/長期、週何時間程度か
- 報酬形態:時給制/固定報酬制/成果報酬制
- 契約形態:請負契約、準委任契約(責任範囲の違いに注意)
曖昧な条件だとトラブルやミスマッチの原因になります。
募集チャネルを選ぶ
a. フリーランス系プラットフォーム
- クラウドワークス、ランサーズ、ココナラ→ クリエイティブ、ライティング、Web系業務に強い。
- シューマツワーカー、Workship→ IT人材やスタートアップ案件に特化
- レバテック→ IT人材やスタートアップ案件に特化
b. 専門人材紹介サービス
- プロ人材エージェント(ビズリーチ、プロの副業など)
→ 経営企画・DX人材など高度スキル向け。
c. SNS・コミュニティ
- LinkedIn、X(旧Twitter)、Facebookグループ
→ 個人ブランディングをしている専門人材にリーチ可能。ハッシュタグ検索やフリーランス、業務委託、個人事業主などのキーワードを併用する。
d. 自社サイト・自社SNS
- 会社のブログや採用ページで直接募集。
- コストは低いが、集客力は自社の発信力次第
→集客力がある会社は、直接募集をかけて直接契約をするほうが手数料が発生しないため理想的です。
ただし、スキルの見極め等のコストは発生するためそこを任せるつもりでエージェント登録をすると良いでしょう。
募集要項の作成
- タイトル:スキルが一目で分かる(例:BtoB SaaS向け広告運用業務委託募集)
- 業務内容:依頼範囲、期待するスキル、成果物イメージ
- 必須スキル/歓迎スキル
- 報酬・契約条件(例:月20時間、時給◯円、リモート可)
- 応募方法:履歴書・ポートフォリオ・スキルチェック
選考プロセスの設計
- 書類確認(スキル・実績・口コミ評価)
- 面談(コミュニケーション力、相性を確認)
- トライアル(短期間で小さな業務を依頼)
- 本契約
いきなり長期契約せず、試験的に依頼するのが安全です。
契約と税務の確認
- 契約形態:請負契約/準委任契約(責任範囲の違いを明確化)
- 源泉徴収:業務内容によっては10.21%の源泉徴収が必要
- インボイス制度:課税事業者か免税事業者か確認(仕入税額控除の可否に影響)
- 秘密保持契約(NDA):機密情報を扱う場合は必須
業務開始とマネジメント
・契約更新・再契約のタイミングを明確にする
・業務管理ツールを活用(Slack, Trello, Notion, Backlogなど)
・成果物レビュー・フィードバックの仕組みを作る
→社内の担当者をつけて業務窓口人材を設定できると社内コミュニケーションがスムーズになります。
よくある質問(FAQ)
Q1. 中小企業にはどちらがおすすめ?
→ 初期は業務委託でリスクを抑えつつ、徐々に正社員を増やすのがおすすめです。
→外部環境が極端に変化する時代は求められるスキルも大きく変わります。全ての専門性をもつ人材の採用は難しいため、うまく外部人材を活用していくことが大切です。
Q2. IT人材やデジタル人材はどちらが有利?
→ 専門性が高く流動性のある領域は業務委託が有効。ただしノウハウ蓄積を考えると正社員登用も検討すべき。
Q3. 雇用の安定性を重視するなら?
→ 正社員の方が定着率が高いですが、経営環境の変化に備え業務委託とのバランスが大切です。
まとめ
- 人材不足の時代、正社員と業務委託には一長一短がある
- 正社員=安定とノウハウ蓄積、業務委託=柔軟性と専門性
- 事業ステージや必要スキルによって使い分けるのが最適
- ハイブリッド戦略を取り入れることで、不足する人材を補いつつ組織を成長させられる
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