Book Review 哲学・思想

鈴木大拙

碧海寿広 — ちくま新書, 2026

僧侶による仏教瞑想は本来、自我の固い殻を破り、自分の利害だけに固執する閉塞的な内面から自由になることが目的だ。そう考えると、個人の心の修復や強化をねらいとする今日的なマインドフルネスの使われ方は、仏教の目標とは逆行している。他方で、心の負担や苦しみを取り除くのが仏教の目指すところと想定すれば、もともと僧侶の領分であった瞑想が多くの俗人のあいだに広がり、人々の心の状態を改善していることは、仏教の目的にかなった望ましい状態と言えよう。

Share & Save