Book Review 生き方・暮らし

脳のなかの免疫、免疫のなかの心

モンティ・ライマン,訳:塩崎香織 — みすず書房, 2026年

2024年英国心理学会ポピュラーサイエンス・アワード受賞作。みすず書房さんから翻訳書としてでています。脳と免疫系の対話の仕組みの最前線です。心身一元がキーワード。そして心(脳)の不調が、一見無関係に思われる免疫や消化(腸)など身体の不具合を引き起こす知見が紹介されています。

第5章微生物に操られるでは、腸に宿る無数の細菌がいかに選択や気分、行動に影響を及ぼすかが書かれています。やはり食が「人を作る」を確信する根拠となる本です。すでにマウスでの実験では腸内の細菌によって行動が異なることが明らかになっているようです。これは人間にも同様の可能性があると。

あなたはひとつの生態系の世話係-あなた自身よりもずっと大きなものの一部だ。自分のマイクロバイオームの世話をするあなたは、花が咲きそろう気持ちのよい手入れをしていることになる。しかも、あなたが生態系を大切にすれば、向こうもあなたを大切にしてくれる

第12章食べるでは、日々実践につながる知恵が書かれています。これはすでに各所で語られていますが、植物由来の食物繊維の多様性が大事ということです。数字でいうと1週間に30種類の植物を腸内に届けるとよいということ。またできる限り加工されたものではなく生の素材を取り入れるのがよいということ。

章のポイントを引用します。

・庭に肥料を与える――さまざまな植物由来の食物繊維(=天然のプレバイオティクス)を食べる。
・多様性は強み――一週間に三〇種類の植物(果物、野菜、豆類、全粒穀物、ナッツ、ハーブ・スパイス……)を摂るよう心がける。
・虹を食べる――たくさんのカラフルな植物を定期的に食べる。
・庭に種を蒔く――発酵食品(=天然のプロバイオティクス)を徐々に食生活に取り入れる。
・超加工食品を制限する――これらは健康にマイナスの影響をもたらし、いずれは炎症を引き起こす。本書では注意すべき食品の長いリストは挙げないが、代表的な元凶としては、精製炭水化物(白いパンなど)、トランス脂肪(揚げ物やファストフードに多く含まれる)、甘い飲みもの、人工甘味料がある。
・微生物の存在を忘れない――あなたは自分よりもずっと大きなものの一部、あなた自身がひとつのコミュニティである。
・自分自身にやさしくある――運動や新しい言語を身につけるときのように、食生活の変化もゆるやかに進める。

自分の腸を庭と見立て、肥料を与える。この肥料は植物繊維です。庭づくりと、腸づくりは繋がっているなと改めて感じました。

食とは漢字で「人」を「良く」すると書きます。食に携わるものとして、みなさまの健康を願うものとして、心の炎症についての解像度をあげていきたいと思います。


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