「北の国から」の脚本家である倉本聰さんが、12人の識者と対話をする対談本です。
椎名誠さん
普段誰も登ったことのないような山が、名もない山がいくつもいくつも連なっていて、そういうのを一日中ずっと見ているんです。すると、「人類とは何か」「生きていくとはどういうことか」とか、普段東京にいたら絶対考えないようなことを考えるようになっちゃうんですね。そして打ちのめされるっていうか、こう頭を垂れてしばらくじっと、今まで考えたことのない思考回路を辿っているみたいなことがあるんです。
トロブリアンド諸島で僕が毎日見ていた風景というのは、海であり、空であり、空飛ぶ雲であり、吹いてくる風、植物、虫、人間、あるいは焚き火の炎のような、ぐにゃぐにゃした不定形なものばかりなんです。そこで思ったのは、科学とか文明というのは曲線と直線の世界で、非常にギスギスしたものでできているんだということです。家というのはそもそも文明ですもんね。それは自然のものばっかり見ている目には新鮮だけど、刺激が強すぎるんですね。
毛利衛さん
倉本さん:宇宙から見ると、地球の水というのはどういうふうに見えますか?
毛利さん:地球は本当に水が豊富だと感じますね。人間の住んでいる陸地などは、地球を覆う水の量に比べると本当に少ないんです。地球が輝いて見えるのは水の表面が光っているからです。水というのは海だけじゃなくて雲もそうですよね。また地球が青く見えるのは空気があるからですから、本当に地球というのは水と空気の惑星だということが目に見えてわかりますね。
いかに自然が複雑で、私たちの持つ科学技術が幼稚であるかという認識から始めないといけないと思います。
それを忘れて自然をコントロールしようとダムを作ったり山を崩したりすると、後で大変な災害が起きてしまう。
科学者だけでなく、今おっしゃったような知恵を持ってみんなが自然を育んでいくことが大切ですね。
どちらかというと、今まで宇宙開発の進め方というのは西洋的な発想でなされてきたんです。企業的、営利的な発想ですね。でもこれからは宇宙開発を通じて、地球と人間の関わりや宇宙と地球の関わり、そして人間が宇宙に飛び出していくということはどういうことなのか、ということを考えるチャンスを与えられているのだと思います。