なぜゴミを捨てる人がいるのか?名付けて『なぜゴミ』
結論(まとめ)
人は「楽だから」「気づかないから」「環境がそうさせるから」ゴミを捨てる。
つまり、
- 意図的:個人のモラルや意識の問題
- 非意図的:注意不足や偶然の事故
- 曖昧グレーゾーン:曖昧な意図(意図と非意図の中間)
- 環境要因:社会や環境がつくる条件
この4つが重なり合って「ゴミを捨てる人がいる」という現象を生み出している。
1. 意図的に捨てる(確信犯系)
- 利便性優先型
近くにゴミ箱がない/面倒だからその場に捨てる - 無関心型
「どうせ誰かが片づける」と思っている - 反社会的行動型
ルール破りに快感を覚える/迷惑をかけること自体を目的とする - 習慣化型
子どものころからの環境や文化で「その辺に捨てる」が当たり前になっている
2. 非意図的に捨ててしまう(過失系)
- 物理的事故
風で飛ばされる、自転車・車から落ちる、ポケットからこぼれる - 管理不足
カバンや袋の口が開いていた/荷物を固定していなかった - 注意不足
持っていたことを忘れる/落としたのに気づかない
3. 認知の歪み・曖昧な意図(グレーゾーン)
- 責任転嫁型
「ここは自分の土地じゃないから」「公共の場だから多少はいいだろう」 - 認識不足型
生分解性のゴミなら自然に戻ると思って捨てる(例:果物の皮) - 正当化型
「少しだけだから問題ない」「他の人もやってるから」
4. 社会的・環境的要因
- インフラ不足
ゴミ箱が少ない、設置場所が不便、分別ルールが複雑でわかりにくい - 文化的背景
地域や世代による「公共空間を大事にする意識」の差 - 心理的距離
観光地や他所で「自分の場所じゃない」と感じ、責任感が薄れる
まとめ
👉ゴミを捨てる」行動は
- (1)明確に意図的
- (2)過失的に非意図的
- (3)意図と過失の間にあるグレーゾーン
- (4)環境や制度の影響
参考
タイトル/著者 | 内容の概要 | あなたのモデル(意図的/非意図的/グレーなど)との対応 |
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Not all litter is littered: An exploration of unintentional littering (Kachef et al., 2023) (サイエンスダイレクト) | “ゴミを捨てる”行為の中で、63%は“非意図的 (unintentional)”である、という発見。意図しない落下や飛ばされるなどの理由。 (サイエンスダイレクト) | 非意図的な要因に対応。あなたの「強風で飛んでいく」「自転車のカゴから落ちる」などのケースに近い。 |
An explorative study of psychological and social factors influencing littering behavior (Zhang et al., 2022) (PMC) | 個人の認知的要因(例:perceived behavioral control=行動をコントロールできるかどうか)、感情的要因(自然とのつながりなど)、社会規範(injunctive/descriptive norms)がゴミ捨ての意図や行動にどのように作用するかを調べている。 (PMC) | 意図的/非意図的という区分を越えて、「その人がゴミを捨てるかどうか」の意図(=意図的寄り)を予測する要因。 |
Personal and Environmental Predictors of Littering Behavior(Schultz他) (scholarworks.calstate.edu) | 観察調査で、ゴミ箱の配置や周囲の清潔さ/既存のゴミの有無など環境要因がゴミを捨てる率に強く影響する、など。 “便利さ”(ゴミ箱までの距離など)が大きい。 (The Allegheny Front) | “意図的だけど便利さが足りないので捨ててしまう”という意図的分類に入るが、環境要因で意図しない行動にも近づくケースが考えられる。 |
Subjective Reasons for Littering: A Self-serving Attribution (Hansmann, 2017) (erem.ktu.lt) | ゴミを捨てる人自身が「なぜ自分はゴミを捨てたか」をどう説明するか(自己帰属)、意図的か過失かなど主観的理由を調べていて、「言い訳」「正当化」がしばしば使われるという話。 (erem.ktu.lt) | グレーゾーンの意図と非意図のあいだ、「意図的にゴミを捨てた」と本人は言っても、それが完全に意図的ではない場合などの複雑性を示している。 |
A qualitative analysis of perceptions and causes of littering (Farage et al., 2024) (サイエンスダイレクト) | ガンビアでの事例。人々のゴミ捨てに対する認識や、背景(社会的/文化的規範、インフラ、掃除の頻度など)がどのように影響するか、インタビューなど質的手法で。 (サイエンスダイレクト) | 社会・文化要因を含めた背景要因。意図/非意図だけでなく、どういう環境・文化で「捨てる」が許容されるか、という部分。 |
研究で使われてる理論モデル・概念
これらの研究で共通して使われている理論や概念として、あなたの仮説に含まれるものを整理すると:
- Theory of Planned Behavior(計画的行動理論): 行動意図(intentions)に影響する要因として、態度(attitude)、主観的規範(subjective norms)、行動のコントロール感(perceived behavioral control)など。 PMC+1
- 社会的規範(descriptive norm vs injunctive norm): 周囲の人がどう行動しているか、または人々がその行動をどう評価しているか。ゴミがすでにある環境なら“捨ててもいいかも”と思わせる(descriptive)、逆に“捨てるのは悪いことだ”という規範(injunctive)など。 PMC+2waste360.com+2
- 環境要因/インフラ要因: ゴミ箱の有無・距離・見た目、掃除の頻度や環境の清潔さなど。これが「便利さ」や「手間」「目に見えるゴミの有無」に結びつき、意図的/非意図的の両方に関連。 waste360.com+2scholarworks.calstate.edu+2
- 意図 vs 過失(intentional vs accidental / unintentional):最近の研究で「意図しないゴミ捨て(unintentional littering)」を定量・分類するものが増えている。 サイエンスダイレクト
- 正当化・帰属バイアス(attribution theory / self serving attribution): 自分がゴミを捨てる行為を意図的/非意図的に帰属するか、あるいは“他の人のせい”(環境が悪い/ゴミ箱が遠いなど)と考える傾向。 erem.ktu.lt
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