結論
値上げができなく、コストが重い構造になると、現金(キャッシュ)が持たずに倒産への確率が高まります。これを回避するためのCCCの視点と、価格向上、コスト削減の3つのの観点から総合的にアプローチしていきましょう。
この記事はこんな人向け
- 経営者・個人事業主
- マーケティング担当者
- 景気や経済の動きを知りたい人
2026年の倒産動向
東京商工リサーチのデータによると、最近の倒産には以下の特徴があります。
- 倒産件数は増加傾向
- 特に「小規模倒産」が特徴的
- 負債総額は2,254億100万円(前年度比15.0%減)で、2年連続で前年度を下回った。負債10億円以上は前年度と同数の40件だったが、同1億円未満が413件(同27.8%増)に増え、構成比は51.5%(前年度45.9%)
- 業種では建設・飲食が目立つ
- 「コロナ後の反動」が影響
- 円安が強まるなか、コストアップに対応できないことが要因

なぜ倒産が増えているのか?
1. コストが上がりすぎている
- 原材料費の上昇
- 電気代・燃料費の高騰
- 人件費の上昇
→ これらを踏まえて物価が上がっています。即価格に反映できない場合は、利益が出ない構造になっています。

2. 借入金の返済が始まった
コロナ時に借りたお金(ゼロゼロ融資など)の返済が本格化。
- 売上は回復途中
- でも返済は待ってくれない
→ キャッシュが足りなくなり倒産へ
借金が悪なのではなく、借金返済のキャッシュ調達の目処がつかなくなった時に倒産につながります。
補助金は後から補助の仕組みが多数なので、多額の投資の場合は、キャッシュの回収が間に合わずに倒産につながりやすいです。特に、製造業など、多額の設備投資をして今後数年にわたって回収するような業態は注意です。
2026年3月の最新データによると、コロナ禍に導入された「グループ補助金」等の活用事業者のうち、倒産件数が5年間で倍増している地域もあります。補助金によって延命したものの、抜本的な収益改善ができずに限界を迎える「補助金漬け倒産」が社会問題化しています。
参考:北海道新聞
3. 値上げができない
- 価格を上げると、代替品に顧客が流れる(例:飲食店)
- 競合が多く、値下げ競争になる(例:家電業界)
- 値上げの重要性を把握していない(例:管理会計システムがない会社)
- ターゲットをずらせていない(例:とにかく安さ重視の顧客に対して商売)
→ コスト増分を吸収できない構造
4. 人手不足
図引用元:【鼎談】労働需給シミュレーションから見えてきたもの
- 人が採れない
- 採れてもコストが高い
→ 事業が回らない
例えばコンサルティング会社であれば、案件を獲得したものの、それを提供する人材が辞めてしまったなどが現場で起きています。そのような場合に備えて業務委託の活用などのオプションはもっておくことが大切です。
サービス業などの場合は、今顧客の側からもニーズのあるスポットワーク、リゾートバイト、外国人ワーカー活用の選択肢を持っておきましょう。あくまで、選択肢です。事前に選択肢の打ち手をもっておくことが大切です。
※スポットワーカー活用を考えの方は、事前に厚生労働省の出している下記留意事項は把握しておきましょう。
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宿泊業のための外国人求人ナビのようなサービスもでてきています。
天下のセブンイレブンでも人材不足よる影響、原価の増加で加盟店収益が低下しています。
これに対してデジタル化による省力化・システム化をすすめてワンオペ体制を作る方向性ですが、ワンオペは、健康上の理由等でそもそも店を回せなくなるリスクもあります。人材の調達についても引き続き問題があります。

倒産しやすい企業の特徴
データから見える「危ない会社」は以下です。
共通点
- 利益より売上を追っている
- 借入依存が高い
- 固定費が大きい
- 値上げできないビジネスモデル
戦略・マーケティング視点から
倒産の原因は「経営」ではなく「構造」です。
つまり、
- 誰に
- 何を
- どの価格で
- どう届けるか
この設計がズレていると、どれだけ努力しても利益は出ません。
1. 利益ベースで考える
売上ではなく「粗利」を見る
- 売上があっても現金は増えない
- 粗利が低いと資金繰りは悪化する
→ まずは「いくら残るか」を基準に判断する
2. 顧客を絞る
全員に売ろうとしない
- 自分たちの商品に対して対価を払ってくれるお客様との関係を維持する
→ 慈善事業でない限り、経営を継続するための利益が残せるよう逆算して価格を設定
3. 値上げできる理由を作る
- ブランド
- 体験価値
- ストーリー
→ 価格を上げられないビジネスは、いずれ資金が尽きます
4. 固定費を見直す
- 人件費
- 家賃
- サブスク
→ 固定費は毎月の出血なので最優先で見直す
5. キャッシュサイクル(CCC)を短くする【最重要】
ここが資金繰りの本質です。CCC(キャッシュ・コンバージョン・サイクル)とは、お金を払ってから回収するまでの時間のことです。
イメージ
- 仕入れ → 支払い(現金が出る)
- 販売 → 入金(現金が戻る)
この間が長いほど、資金は苦しくなります。

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キャッシュフローに見るアマゾンの真の優位
アマゾンのCCCは-であることが語られています。

改善ポイント
① 在庫期間を短くする
- 売れない在庫を持たない
- 回転率を上げる
② 回収を早くする
- 前払い・着手金
- 請求即日発行
- 支払いサイト短縮
③ 支払いを遅らせる
- 仕入先と交渉
- 支払い条件の見直し
CCCが長い会社は、黒字でも倒産します。これを黒字倒産と呼びます。逆に言えば、CCCを短くすれば、資金繰りは一気に改善します。
黒字倒産についてはこちらをご確認ください。
現場の視点から
1.デジタル活用による業務効率向上
デジタル・システム活用で業務効率向上。券売機・レジ周りのオペレーション効率を上昇するなど
2.人材調達へのアンテナを立てる
日頃から、人材調達へのアンテナを立てる。業務委託・スポットワーク活用などをして、繁忙期の需要へ対応する
3.オペレーション効率
人とコストは「付加価値を生む部分」に集中させ、それ以外は削減・自動化・顧客移管する。
付加価値に「貢献する業務」
→ 人がやるべき領域(コストをかけるべき)
具体例
- 商品企画・開発
- コンセプト設計(ストーリー・ブランド)
- 体験設計(接客・空間づくり)
- アンケート設計・顧客理解
- クリエイティブ制作(コピー・デザイン)
特徴
- 顧客が「お金を払う理由」になる
- 差別化につながる
- 値上げの根拠になる
付加価値に「貢献しない業務」
→ 減らす・やめる・仕組み化する領域
具体例
- レジ対応(現金処理)
- チケット手渡し
- 単純な受付作業
- 手作業の集計・事務処理
- 空いている店舗スペースの放置など
特徴
- 誰がやっても同じ
- 顧客価値に直結しない
- コストだけ発生する
人件費は削るものではなく、使い方を変えるものです。
企業が今すぐ向き合うべき3つの対策
1. 独自の付加価値をつくり、値上げできる状態をつくる
物価高の局面では、単に「価格を上げる」だけでは顧客は離れてしまいます。
大事なのは、値上げをしてもお客様に選ばれる理由をつくることです。
- 他社にはない独自性をつくる
- 商品そのものの価値を高める
- 伝え方や接点を工夫し、納得感を生む
つまり、「高くなった」のではなく「この価値なら欲しい」と思ってもらえる商品設計とコミュニケーションが必要です。
2. コストを可視化し、削減できるものから削る
コスト増は感覚で語るのではなく、まず見えるようにすることが重要です。
何にいくらかかっているのかが見えなければ、改善もできません。
- 原材料費
- 人件費
- 家賃
- 外注費
- サブスクや広告費
このように分解して、「必要なコスト」と「見直せるコスト」を切り分けることが重要です。
そのうえで、削るべきは単なる金額ではなく、
利益や顧客価値に直結しない支出です。
3. 心理的障壁と徹底的に向き合う
実際には、値上げやコスト削減ができない理由の多くは、数字よりも心理にあります。
たとえば、
- 値上げしたら嫌われるのではないか
- 顧客が離れるのではないか
- 長年のやり方を変えるのが怖い
- 無駄だと分かっていてもやめられない
こうした心理的な抵抗が、経営判断を遅らせます。しかし、物価高の時代にはこの迷いがそのまま経営リスクになります。だからこそ、数字の問題だけでなく、「なぜ決められないのか」という心理的障壁にも向き合うことが必要です。
3つをまとめると
企業が取るべき対応は、次の3つです。
- 付加価値を高めて、値上げできる理由をつくる
- コストを可視化して、削るべきものを削る
- 値上げや見直しを妨げる心理的障壁を乗り越える

倒産が増えているのは、構造的な問題です。
- 売上が経つが、借入返済へのキャッシュが足りなくなる
- 継続的な物価コスト増
- 価格競争に巻き込まれ、値上げできない
この3つが重なった「構造的な問題」です。これに対して、CCCの視点と、価格向上、コスト削減の視点の観点から総合的にアプローチしていきましょう。
お問い合わせ
売上-コスト=利益という構造上、コスト削減・値上げアップの観点でアプローチし、利益を残すことが倒産を防ぐための方向性です。まずは倒産がなぜ起こるのか?CCCの観点を理解すること、続いてキャッシュをうむための差別化の作り方・今ある「思い込み」について議論させていただきます。





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