「自然共生サイト」という言葉をご存知でしょうか?
近年、企業のサステナビリティやESGへの関心が高まる中で、「生物多様性」への取り組みが重要視されています。その中でも注目されているのが「自然共生サイト」という制度です。
しかし、「名前は聞いたことがあるけどよく分からない」「認定されると何が変わるのか知りたい」という方も多いのではないでしょうか。
本記事では、自然共生サイトの基本から、認定基準、メリット・デメリットまでをわかりやすく解説します。現在私はベリー農園に勤務しており当事者として自然共生サイトを調べています。
下記に情報をまとめておきます。
自然共生サイトとは?
自然共生サイトとは、企業や団体が保有・管理する土地において、生物多様性の保全や自然との共生を目的とした取り組みが評価・認定されたエリアを指します。
環境省では、「民間の取組等によって生物多様性の保全が図られている区域」を「自然共生サイト」に認定する仕組みを令和5年度から開始しました。
出典:環境省ホームページ https://policies.env.go.jp/nature/biodiversity/30by30alliance/kyousei/
日本では、環境省を中心に制度化が進められており、以下のような取り組みが対象になります。
- 生態系の保全・再生
- 希少種の保護
- 森林・湿地の維持管理
- 自然環境と人間活動の調和
つまり、科学的・継続的に自然保全が行われている場所が自然共生サイトです。
自然共生サイト認定一覧
自然共生サイトとして認定されている場所は、企業の工場敷地やゴルフ場、里山など多岐にわたります。
代表的な例としては:
- 企業の緑地(製造業の工場敷地など)
- 民間の森林管理エリア
- 地域の里山・湿地
- 自然再生活動エリア
近年は特に、企業のESG・サステナビリティ戦略の一環としての登録が増加しています。
都道府県ごとに調べられますのでお住まいの地域の自然共生サイトを確認してみてください。
私が住んでいる北海道では令和8年3月現在16のサイトが登録されておりました。


自然共生サイトの認定基準
自然共生サイトとして認定されるためには、単に自然があるだけでは不十分です。
主な認定基準は以下の通りです。
1. 生物多様性の価値があること
- 希少種や多様な生態系が存在
- 生態系ネットワークの一部として機能
2. 適切な管理がされていること
- 継続的な保全活動
- 管理計画の策定
3. 科学的根拠に基づく評価
- 調査データの存在
- モニタリング体制
4. 長期的な継続性
- 一時的な取り組みではなく持続可能であること
自然共生サイトのメリット
1. ESG・サステナビリティ評価の向上
企業にとっては、環境配慮の証明となり、投資家や顧客からの評価向上につながります。
2. ブランド価値の向上
「自然と共生する企業」というストーリーは、強力なブランディングになります。
3. 社員エンゲージメント向上
自然環境を活かした活動により、社員の満足度や参加意識が高まります。
4. 地域との関係強化
地域住民や自治体との連携が生まれ、共創の機会が増えます。
個人的には太陽光パネルなどの無理な開発の手が及びにくくなったり
自然共生サイトのデメリット
1. 維持・管理コストがかかる
調査・保全活動・専門人材など、継続的なコストが発生します。
科学的な調査など費用が必要となるため、申請する余力を持つ企業にばかり支援や注目がいくと制度設計になっているという指摘もあります。詳しくは下記をご覧ください。
▼あわせて読みたい!▼
自然共生サイトの課題 森林文化協会
2. 専門知識が必要
生態系や環境保全に関する知識が不可欠です。なぜ、保全に値するのか?そういったことを理解して、現場の環境の価値を理解できなければなりません。例えば、私が勤務するベリー園では、多様な野鳥が訪れます。同時にカブトムシまで。一見すると当たり前に思えるかもしれませんが、これがいかに貴重な環境なのか?を理解するには、生態系の理解が不可欠です。

3. 即効性のある成果が出にくい
自然保全は長期的な取り組みであり、短期的なROIは見えにくいです。どういった指標を評価の軸とするかは企業内でも擦り合わせが必要になります。間違っても売上などとは結びつけてはいけません。
売上は複数の要因があるので、その影響を判断するのはまず難しいです。となれば、中間変数である、
コミュニケーションとしての関係性を評価していくべきでしょう。
自然共生サイトの認定数
近年、自然共生サイトの認定数は増加傾向にあります。
背景として:
- 生物多様性への関心の高まり
- TNFD(自然関連財務情報開示)の普及
- ESG投資の拡大
これにより、企業主体での登録が急増しています。
自然共生サイトの認定期間
一般的に認定には一定の期間があり、
- 定期的な更新・再評価
- 継続的なモニタリング
が求められます。つまり、一度取得して終わりではなく、維持が重要です。
自然共生サイトの申請方法
基本的な流れは以下の通りです。
- 現状の環境調査
- 管理計画の策定
- 申請書類の作成
- 審査・評価
- 認定取得
特に重要なのは、事前の生態系調査とデータ整備です。
申請については下記ページを参照ください。

次は令和8年5月末が申請の申し込み日となります。半年かけての認定ですね。

自然共生サイトと補助金
自然共生サイトに関連する取り組みでは、以下のような支援が受けられる場合があります。
- 環境保全補助金
- 地域創生関連補助金
- ESG・脱炭素関連支援
ただし制度ごとに条件が異なるため、個別確認が必要です。
詳しくは下記ページを参考にしてください。Excelが無料でダウンロードできます。
https://policies.env.go.jp/nature/biodiversity/30by30alliance/kyousei/support/index.html
OECMと自然共生サイトの違い
OECM(Other Effective area-based Conservation Measures)は、国際的な枠組みであり、
- 自然共生サイト:国内制度
- OECM:国際基準
という違いがあります。自然共生サイトは、OECMへの貢献として位置付けられるケースも多いです。
まとめ
自然共生サイトは単なる環境活動ではなく、
- ESG戦略
- ブランド構築
- 地域共創
を統合した取り組みです。
特に今後は、
- TNFD対応
- 生物多様性開示
- ネイチャーポジティブ
の流れの中で、さらに重要性が高まります。日本でも限られた自然資源は保全の対象として認定が行われることで認知度が高まります。認知度が高まることで、周囲のコミュニケーションや保全の関心が高まることが期待されます。一方で、知られることのデメリットもあると思います・・
参考文献
本記事の作成にあたり、以下の公的資料・専門機関の情報を参考にしています。
公的機関・制度関連
- 環境省「自然共生サイト(30by30)」
日本における自然共生サイト制度の概要、認定基準、取り組みの方向性が整理されています。 - 環境省「30by30ロードマップ」
2030年までに国土の30%を保全する国際目標と、日本国内の具体施策について解説されています。 - 環境省「OECM(保護地域以外での生物多様性保全)」
自然共生サイトと関係の深い国際的な枠組みについての公式解説。
国際機関・フレームワーク
- CBD(生物多様性条約)
生物多様性保全の国際的な基本枠組みを提示。 - TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)
企業における自然資本・生物多様性リスクの開示指針。 - IUCN(国際自然保護連合)
保護地域・OECMの国際的定義や評価基準を提供。
ESG・企業活動関連
- 経団連「生物多様性宣言・行動指針」
企業の自然共生に関する基本方針と実践事例。 - 各企業のサステナビリティレポート
自然共生サイト登録事例や具体的な取り組み内容を確認可能。
補助金・政策関連
- 環境省・経済産業省の各種補助金資料
自然保全・脱炭素・地域共生に関する支援制度。
自然活動団体の皆様向けご相談サービスです
今やっている自然支援活動がどのくらい効果がでているか?検証できていますでしょうか。観省庵はネイチャーマーケティングを支援する活動をしています。自然コンテンツを使った顧客との関係性を一緒に考えていきませんか?情報を発信しているけど、どのように活用されているかわからない・・そういったお悩みがありましたらお気軽にご相談ください。一緒に頭を使って考えさせていただきます。


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