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自然保護は「守る」から「再生する」時代へ 観省庵 Daily Insight For NGO/NPO 2026年6月20日

2026.06.20  ·  更新: 2026.06.21
自然保護は「守る」から「再生する」時代へ 観省庵 Daily Insight For NGO/NPO 2026年6月20日

自然保護は「守る」から「再生する」時代へ

これまでの自然保護は、

  • 森林伐採を止める
  • 絶滅危惧種を守る
  • 開発を制限する

など、「失われるものを守る」ことが中心でした。しかし近年、世界の自然保護は少しずつ次の段階へ進み始めています。それは、失われた自然を再生する(Rewilding:リワイルディング)という考え方です。2026年6月20日、ロンドン気候アクションウィークの開幕とともに、世界では「生態系再生」と「自然への投資」が大きなテーマとなっています。今日のニュースから見えてくるのは、「自然を守ること」と「未来をつくること」というつながりです。

1. 自然は「守る対象」から「投資対象」へ

英国ヨークシャーでは、1,100ヘクタールに及ぶ広大な土地でリワイルディング(自然再生)が進められています。そこでは、

  • 33万本以上の植樹
  • 湿地の回復
  • ビーバーの再導入
  • 在来種の保全

などが行われています。興味深いのは、この取り組みを支えているのが投資ファンドであることです。

投資ファンドは、Rebalance Earth(リバランス・アース)です。

https://www.rebalance.earth/

リバランス・アースは、自然を重要なインフラと捉える自然資本ファンドマネージャーです。私たちは、英国諸島の再生、洪水対策、きれいな水の供給、気候変動への耐性強化のために、100億ポンドの資金を投入することを目指しています。Rebalance Earth is a natural capital fund manager treating Nature as critical infrastructure. We aim to deploy £10bn to restore the British Isles, delivering flood protection, clean water, and climate resilience.

従来、自然保護は「コスト」と考えられてきました。しかし現在は、

  • 洪水を防ぐ
  • 干ばつを緩和する
  • 炭素を固定する
  • 生物多様性を回復する

といった自然の機能を、社会を支えるインフラとして評価しようという動きが広がっています。数々の研究が並行して進んでおり、自然に対する理解度が徐々に高まっていることも背景になると思います。

2. 「何もない土地」ではなく「眠っている土地」

長年の農業や開発によって傷んだ土地は、一見すると価値を失ったように見えます。しかし近年の生態学では、多くの土地には

「回復する力」が残されていることが分かってきました。

少し手を貸せば、

  • 土壌微生物が戻る
  • 植物が増える
  • 昆虫が集まる
  • 鳥が戻る

という変化が起きます。自然は壊れやすい存在であると同時に、驚くほど回復力を持った存在でもあります。

だからこそ、「保全」だけでなく、「再生」が重要なテーマになっています。

3. ヨーロッパでは「再生」が義務になる時代へ

EUでは、自然再生法(Nature Restoration Regulation)が施行され、加盟国は2026年9月までに国家再生計画の提出を求められています。目標は、2030年までに劣化した生態系の20%を回復し、2050年までにすべての生態系を健全な状態へ近づけることです。つまり、「これ以上悪くしない」ではなく、「失われたものを取り戻す」ことが政策の中心になり始めています。これは大きな転換です。自然保護が、守りの時代から、再生の時代へ入ったことを意味しています。

自然再生法には、以下の具体的な目標が含まれています。

  • 既存の法律に基づく目標(湿地、森林、草原、河川および湖沼、ヒースおよび低木地、岩場生息地および砂丘)  – 生物多様性のある生息地を大規模に改善および再構築し、生息地を改善および拡大することによって種の個体数を回復させる
  • 受粉昆虫― 2030年までに受粉昆虫の個体数減少を逆転させ、受粉昆虫の個体数増加傾向を実現するため、受粉昆虫の定期的なモニタリング手法を確立する。
  • 森林生態系– 立木や横倒し枯れ木の増加傾向、不均一な樹齢の森林、森林の連結性、一般的な森林鳥類の豊富さ、有機炭素の蓄積
  • 都市 生態系― 2030年までに都市部の緑地と樹木被覆の純減をなくし、2030年以降は総面積を着実に増加させる。
  • 農業生態系― 草原の蝶や農地の鳥類の増加、農地の鉱物土壌における有機炭素の蓄積、多様性の高い景観特性を持つ農地の割合の増加。排水された泥炭地を農業利用下で再生する。
  • 海洋生態系― 海草藻場や海底堆積物などの海洋生息地を回復させることで、気候変動の緩和など大きな恩恵をもたらし、イルカやネズミイルカ、サメ、海鳥といった象徴的な海洋生物の生息地を回復させる。
  • 河川の連結性― 地表水の連結性を妨げる障壁を特定し、除去することで、2030年までに少なくとも25,000kmの河川を自由な流れの状態に回復させる。

観省庵の視点

鳥を日々観察して考えていると、「減らさないこと」だけでは十分ではないと感じることがあります。鳥が戻るためには、昆虫が必要です。昆虫が戻るためには、植物が必要です。植物が育つためには、土壌や水の循環が必要です。つまり、自然保護とは、現状維持ではなく、失われた環境のつながりを取り戻すことなのかもしれません。

これは人の暮らしも同じです。

疲れた心も、壊れた関係も、失われた地域も、完全に元には戻らないかもしれません。しかし、時間をかけて手を入れ、関係性を育て直すことで、新しい姿として再生することはできる。自然界は、そんな希望を教えてくれているように感じます。

今日の省察

私たちは、「失わないこと」を目標にしがちです。しかし、本当に大切なのは、失われたものを嘆くことではなく、もう一度育てることなのかもしれません。森も、土も、地域も、人の心も、再び育つ力を持っています。自然保護とは、未来を悲観することではなく、回復する力を信じることなのかもしれません。

明日への問い

私は失われないように守ろうとしているだろうか。それとも、失われたものを育て直そうとしているだろうか。

参考文献


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