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自然保護は「土を守ること」から始まる 観省庵 Daily Insight For NGO/NPO 2026年6月17日

2026.06.17  ·  更新: 2026.06.18
自然保護は「土を守ること」から始まる 観省庵 Daily Insight For NGO/NPO 2026年6月17日

自然保護は「土を守ること」から始まる

自然保護というと、

  • 森林を守る
  • 鳥を守る
  • 海を守る
  • 絶滅危惧種を保護する

といった活動を思い浮かべるかもしれません。しかし、2026年6月17日に世界で注目されているテーマは、もっと足元にあります。

それは、「土地と土壌」

です。6月17日は「世界砂漠化・干ばつ防止デー(Desertification and Drought Day)」。

今年のテーマは、

Rangelands: Recognize. Respect. Restore.(草地を理解し、敬い、再生する)

です。

世界の草地や乾燥地は、気候変動や過放牧、土地利用の変化によって急速に劣化が進んでおり、最大で半数の草地が劣化または劣化の危機にあると報告されています。

今年の「世界砂漠化・干ばつデー」は、牧草地を認識し、尊重し、再生することを私たちに呼びかけています。これらの広大な土地は地球の陸地面積の半分以上を占め、約20億人の生活を支えています。その計り知れない価値にもかかわらず、牧草地はしばしば見過ごされがちです。

これらは食料・飼料システムの基盤であり、世界の食料生産量の16%、家畜草食動物の飼料の70%を供給している。また、牧畜民の生活、生物多様性、水資源の確保、文化的アイデンティティ、そして回復力を支えている。

牧草地は、土地劣化中立性の核心をなす存在である。

しかし、牧草地の喪失と劣化は、ほとんど注目も対策も取られていない。土地の転換と劣化により、草原、サバンナ、低木地、ステップは縮小している。政策や奨励策は、牧畜生産システムと地域の食料安全保障を弱体化させている。そして、気候変動は、これらの重要な景観における干ばつと砂漠化を加速させている。

この「見えないギャップ」は、国家政策にも表れている。国連環境計画(UNEP)の地図によると、牧草地は国家気候変動対策計画のわずか10%にしか言及されておらず、森林よりもはるかに少ない。また、牧畜を営む5億人の人々は、自分たちの生活基盤である土地の健全性と回復力を左右する土地利用に関する決定に対して、影響力を全く、あるいはほとんど持っていない。

このままの状況が続けば、これらの牧草地の多くを失うことになるでしょう。牧畜民コミュニティは都市部へと分散するか、あるいは援助に依存するようになるでしょう。何千年にもわたる長く誇り高い伝統が失われるのです。これは進歩ではありません。これは人間的、文化的な悲劇です。

Rangelands sit at the heart of Land Degradation Neutrality.

Yet the loss and degradation of rangelands is attracting little attention or action. Conversion and degradation are shrinking grasslands, savannahs, shrublands and steppes. Policies and incentives are undermining pastoral production systems and local food security. And climate change is driving droughts and desertification of these vital landscapes.

This “invisibility gap” shows up in national policy. A UNEP atlas noted rangelands are referenced in only 10 per cent of national climate plans, far less than forests. And the 500 million people who practice pastoralism have no or limited influence over land-use decisions that shape the health and resilience of the lands upon which they rely.

If things keep going as they have been going, we will lose much of these rangelands. Pastoralist communities will disperse, heading for urban centres, or be reduced to aid dependency. A long and proud tradition stretching back thousands of years would be lost. This is not progress. This is a human and cultural tragedy.  引用:Protecting rangelands, home to billions of people

1. 土地の劣化は、生物多様性だけの問題ではない

草地や乾燥地は、地球の陸地の半分以上を占めています。

そこでは、

  • 水を蓄える
  • 炭素を固定する
  • 野生生物を支える
  • 家畜を育てる
  • 人々の暮らしを支える

という重要な役割を担っています。

しかし現在、

  • 気候変動
  • 干ばつ
  • 土壌流出
  • 土地利用の変化

などによって、こうした機能が失われつつあります。

これは単なる農業問題ではありません。土壌が劣化すると、まず土壌中の微生物や有機物が減少し、植物の生育環境が悪化します。すると植物を利用する昆虫が減少し、その結果として昆虫を餌とする鳥たちも影響を受けます。

一方で、土壌の劣化は保水力の低下を引き起こし、

  • 雨水を蓄えられなくなる
  • 洪水や干ばつが起きやすくなる
  • 河川や湿地の環境が変化する

といった形で、水循環にも影響を及ぼします。

つまり、

生きもののつながり

土壌

微生物

植物

昆虫

と、

水のつながり

土壌

保水力

河川

湿地

生態系

という二つの流れが、互いに関わり合いながら一つの生態系を支えています。

そのため、土地の劣化は単に土の問題ではなく、物多様性の喪失と水循環の変化を同時に引き起こす、生態系全体の問題なのです。

2. 保全の主役は地域の人々へ

今年の世界砂漠化・干ばつ防止デーでは、牧畜民や先住民族、地域コミュニティの知恵

に注目が集まっています。国際社会は、「自然を守る専門家が解決する」

という発想から、「その土地で暮らす人たちとともに守る」という方向へ舵を切っています。

草地の管理も、

  • 放牧のタイミング
  • 水の使い方
  • 植生との付き合い方

など、長い年月をかけて培われた知識によって維持されてきました。近代的な技術だけではなく、地域に蓄積された知恵もまた、生物多様性を支える資本として再評価されています。

3. 「種」ではなく「機能」を守る時代へ

これまで自然保護は、

  • この鳥を守る
  • この森を守る
  • この湿地を守る

というように、対象を中心に考えることが多くありました。

しかし近年は、

  • 土壌が水を蓄える
  • 草地が炭素を固定する
  • 微生物が栄養を循環させる
  • 生態系が気候を安定させる

といった、

自然が本来持っている機能を回復する

ことに重点が置かれるようになっています。種を守ることも大切ですが、

その種が生きられる「土台」が失われれば、長期的な回復は難しくなります。

自然保護は、

「何を守るか」

から、

「どのような機能を未来へ残すか」

へと視点が移り始めています。

観省庵の視点

鳥を見ていると、鳥だけを見ても本質は見えてきません。鳥が減った背景には昆虫の減少があり、昆虫の減少の背景には植物の変化があり、植物の変化の背景には土壌や微生物の変化があります。また、湿地に訪れる鳥たちは、水の流れや土壌の状態にも大きく左右されます。

一羽の鳥の背景には、

  • 微生物
  • 植物
  • 昆虫
  • 人の営み

が存在しています。結局、鳥を守ることは、昆虫を守ることでもあり、植物を守ることでもあり、土を守ることでもあります。

自然保護とは、目立つ存在を守ることではなく、

目立たない基盤と、そのつながりを育てること

なのかもしれません。果樹も同じです。実の出来栄えばかりを見ていると、本質を見失います。本当に大切なのは、根を支える土。水を蓄える力。多様な生きものたちとの関係性。そうした見えにくい土台です。

P.S 今年のハスカップ生育状況、やっと実がなってきました。カフェもオープンしています。カフェや農園ではこういった自然のつながりが体感できる場所にしていきたいです。

今日の省察

私たちは成果に目を向けがちです。実りを求め、花を愛で、花の美しさを語ります。しかし、花の前には葉があり、葉の前には枝があり、枝の前には根があり、根の前には土があります。目に見えるものを支えているのは、いつも静かで、目立たない存在です。自然界も、組織も、人の人生も、本当に大切なものほど足元にあるのかもしれません。

明日への問い

私は実りを求めているだろうか。それとも、その実りを支える土壌を育てているだろうか。

Recognize. Respect. Restore.(理解し、敬い、再生する)のコンセプトは重要です。
まずは現状を正しく認識することからです。

無関心のフェーズを脱却し、今ある責任に対してできることをアクションしていきましょう。

参考文献

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自然保護に「正解」はあるのか 観省庵 Daily Insight For NGO/NPO 2026年6月16日
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