Daily Insight

NGO・NPO団体が活用できるテクノロジーツール支援プログラム|観省庵 Daily Insight For NGO/NPO 2026年6月13日

2026.06.13
NGO・NPO団体が活用できるテクノロジーツール支援プログラム|観省庵 Daily Insight For NGO/NPO 2026年6月13日

近年、AIの進化によって企業だけでなく、NGO・NPOの活動も大きく変わろうとしています。一方で、多くの団体では

・人材不足
・資金不足
・IT人材不足

という課題を抱えており、新しい技術を活用したくても手が回らないのが現実です。そんな中、世界のテクノロジー企業は、非営利団体向けの支援プログラムを次々と拡充しています。

今回は、2026年6月時点で注目したい4つの支援プログラムを紹介します。

1. Anthropic「Claude Corps」

AI企業Anthropicは、非営利団体向けの新たな支援プログラム「Claude Corps」を発表しました。


Anthropicは、キャリア初期の人材を全米の非営利団体に派遣し、業務において人工知能をより効果的に活用できるよう支援するフェローシッププログラムを立ち上げるために、1億5000万ドルを寄付する。
Anthropic will donate $150 million to launch a fellowship program that places people early in their careers with nonprofits around the country to help them use artificial intelligence more effectively in their work.

このプログラムでは、AI活用の専門知識を持つフェローを非営利団体へ派遣し、業務改善やAI活用を支援します。さらに参加団体には助成金やClaude利用クレジットも提供されます。これまでの支援が「ツール提供中心」だったのに対し、Claude Corpsは「人材を派遣して伴走支援する」点が特徴です。AIを導入したいが使いこなせない団体にとって、大きな追い風となる可能性があります。

AI活用研修の動画もリリースしていますよ。(日本語は未対応)

このコースは、非営利団体の専門家がAIに関する知識を習得し、組織の使命と価値観に忠実でありながら、組織の影響力と効率性を向上させることを目的としています。

↓↓
非営利団体向けAI活用スキル

2. Google for Nonprofits

Googleは世界中の非営利団体向けに「Google for Nonprofits」を提供しています。

利用できる主なサービスは、

・Google Workspace
・Google Ad Grants
・YouTube Nonprofit Program
・Google Earth
・Google Maps

などです。

特にGoogle Ad Grantsでは、検索広告に利用できる広告枠が提供されるため、寄付募集や会員募集、イベント集客などに活用できます。「良い活動をしているのに知られていない」という課題を抱える団体にとって、認知拡大の有力な手段となっています。

3. Salesforce「Power of Us」

寄付者管理や会員管理を行うCRMとして世界中のNPOで利用されているのがSalesforceです。

Power of Usプログラムでは、

・無償ライセンス提供
・大幅な割引
・トレーニング支援

などが用意されています。

NPOにおいて重要なのは寄付者との関係性を長期的に維持することです。そのためには

・誰が
・いつ
・いくら寄付したのか

だけでなく、

・どの活動に関心があるのか
・どのような経路で団体を知ったのか

を記録することが重要になります。Power of Usは、こうしたファンドレイジング基盤づくりを支援するプログラムといえます。

4. Slack for Nonprofits

多くのNPOでは、職員だけでなく、

・ボランティア
・研究者
・地域住民
・協力団体

など、多様な関係者との連携が必要です。SlackのNPO支援プログラムでは、対象団体に割引価格でSlackを提供しています。情報共有やプロジェクト管理をオンライン上で行うことで、組織の規模を超えた協働が可能になります。特に全国規模で活動する団体や、複数の地域をまたいで活動する団体にとって有効なツールです。

観省庵の視点

今回のニュースから見えてくるのは、

「ツールそのもの」ではなく、

「活動を支える基盤」

への投資が進んでいるということです。

自然保護団体や環境NPOの課題は、必ずしも保全技術だけではありません。

・活動を伝える力
・寄付を集める力
・参加者を巻き込む力
・情報を蓄積する力

も同じくらい重要です。

AnthropicはAI人材を、
Googleは発信基盤を、
Salesforceは支援者管理基盤を、
Slackは協働基盤を提供しています。

自然保護の世界では、生態系の回復が重要視されるようになっています。

それと同じように、NPOの持続可能性を高めるためには、「組織の生態系」を整えることも必要なのかもしれません。

優れた活動が続く背景には、優れた仕組みがあります。

今後は、テクノロジーを活用しながら社会課題を解決する団体が、より大きな成果を生み出していく時代になりそうです。


明日への問い

あなたが大切にしている活動を支えている「見えにくい基盤」は何でしょうか。

あるいは、

今の自分は成果を追いかけているでしょうか。それとも成果を生み出す土壌を育てているでしょうか。

参考文献

Anthropic

Google

Salesforce

Slack

← Prev
境界を越えなければ守れないものがある|観省庵 Daily Insight For NGO/NPO 2026年6月12日
この記事を共有する
https://kanseian.earth/daily-insight/technology-tool-support-program-for-ngos-and-npos/