個人事業主とサラリーマンの納税方法の違い

確定申告 暮らし

個人事業主とサラリーマン(会社員)の納税方法の違いをまとめます。会社員であればバックオフィスの方が毎月計算をして処理してくれていましたが、独立をすると自分で所得を申告し納税する必要があります。比較表で確認してみましょう。

項目個人事業主サラリーマン(会社員)
所得の種類事業所得など給与所得
納税方法自己申告(確定申告)源泉徴収 + 年末調整
確定申告の要否必須(基本的に毎年)原則不要(副収入あり・医療費控除等がある場合は必要)
所得税の支払い時期年1回確定申告(3月)+必要に応じて予定納税毎月の給与から天引き
住民税の支払い確定申告後に通知 → 年4回分割支払い給与から天引き(特別徴収)または普通徴収
消費税の納税(対象者のみ)売上に応じて課税 → 確定申告が必要原則なし(事業活動していない限り)
社会保険の扱い国民健康保険・国民年金社会保険(健康保険・厚生年金)
会計処理自身で帳簿管理・会計ソフト利用など不要(会社が処理)
税理士の関与任意(複雑な場合は依頼する人が多い)基本不要(会社が処理)
控除の違い青色申告控除や経費計上が可能給与所得控除のみ(一定額)

サラリーマンと違うのは、個人事業主は自分で申告をする必要があること。それが確定申告です。
そして控除については、経費の多様性が考えられます。(こちらについては別記事を参考。)

確定申告とは?

確定申告とは一言でいうと、「所得税」の申告のことです。確定申告をすることで、「所得税」と「住民税」が決まります。所得税と住民税は連動しているので、確定申告(所得税の申告)をすることで、自動的に住民税も確定します。参考:個人住民税

所得税はどう決まるのか?

所得税の税率は「課税所得金額」次第。(下記③に該当)大まかななステップは下記です。

ステップ内容
① 総所得の把握収入(売上や給与など)から必要経費を差し引いて「所得金額事業所得」を算出
② 所得控除事業所得から「基礎控除」「配偶者控除」「社会保険料控除」などを差し引く(控除)
③ 課税所得の確定事業所得金額 − 所得控除 = 課税所得金額(残額)
④ 税率の適用課税所得金額(残額)に応じた 累進税率(5%〜45%) を適用し、税額を計算
⑤ 税額控除住宅ローン控除などがある場合、計算された税額から差し引き
⑥ 納付最終的な税額を確定申告で納付(または年末調整)

全ては①から始まるので、全体売上の把握はきちんと把握しましょう

所得税の税率

課税所得(課税対象額)税率控除額(概算)
~195万円以下5%0円
195万円超~330万円以下10%97,500円
330万円超~695万円以下20%427,500円
695万円超~900万円以下23%636,000円
900万円超~1,800万円以下33%1,536,000円
1,800万円超~4,000万円以下40%2,796,000円
4,000万円超45%4,796,000円

事業所得500万円ー所得控除200万円=課税される所得300万円
課税所得に対して、税率を算定。上記の場合の税率は10%。

よって、30万円ー9万7500円=20万2500円が所得税の額となります。

上記の表にもある通り、課税される所得が大きくなるとそれに伴って税率が高くなり、税金の額も膨らみます。(累進課税)

申告の方法は2つ:青色か白色か?

戦前・戦後の日本では、税務行政の近代化の一環として帳簿制度の導入が進められました。具体的には青色申告は、昭和25年(1950年)の所得税法改正により正式に導入されました。この制度の導入にあたり、当時の納税者の帳簿記録をわかりやすく分類するために、「青インクで記帳された正規の帳簿」=しっかり記録された申告を優遇する、という運用がされていました。そこから、正確な帳簿をつけたうえで自己申告する制度として、「青色申告」という名前が定着しました。

項目青色申告白色申告
おすすめ対象者事業規模がある人・赤字を繰り越したい人・節税したい人小規模・副業レベルの人・面倒を避けたい人
申請の必要必要(税務署に「開業届」と「青色申告承認申請書」を提出)不要(開業届のみでOK)
帳簿の種類複式簿記(または簡易簿記)単式簿記(簡単な記帳)
記帳義務あり(詳細な記帳)あり(簡易な記帳)
控除額最大65万円(電子申告+複式簿記の場合)控除なし
赤字の繰越可能(最長3年間)不可
家族への給与必要経費として全額計上可能(専従者給与)上限あり(一定額まで)
貸倒引当金の計上可能不可
提出書類の量多い(決算書・仕訳帳・総勘定元帳など)少ない(収支内訳書のみ)
税務調査の可能性やや高い(節税メリットが大きいため)比較的低い

青色申告のメリット・デメリット

メリットデメリット
最大65万円の特別控除がある(節税効果大)事前申請が必要(開始前に提出しないと無効)
赤字を最長3年間繰越せる(将来の節税につながる)複式簿記など正確な帳簿作成が求められる
家族への給与を全額経費にできる(条件あり)帳簿の作成・管理に手間がかかる(現金主義がやりにくい)
貸倒引当金の計上など高度な会計処理ができる税務調査が入りやすい可能性も

白色申告のメリット・デメリット

メリットデメリット
手続きが簡単で気軽に始められる控除がないため、節税効果が小さい
単式簿記で記帳も比較的簡単赤字の繰越ができない
収支内訳書だけの提出で済む家族への給与が制限される
開業届だけで利用可能規模が大きくなると不利になる可能性がある

知識がある人であれば、白色よりも青色のほうがメリットが大きいですね。複式簿記の知識は簿記3級から2級の教科書を読むのがおすすめです。

まとめ

・個人事業主は自分で所得を申告する必要がある
・所得を申告する方法は確定申告
・確定申告をすることで、「所得税」と「住民税」が決まる
・確定申告の仕方は2種類。青色と白色がある

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