自然保護の主役は、誰なのだろう
自然保護というと、行政。研究者。NGO。そんな組織が中心となって活動しているイメージがあります。しかし2026年6月30日、IUCN(国際自然保護連合)は、タンザニア・ムトワラ地域で「Multi-stakeholder Seascape Forum(多様な主体による海域管理フォーラム)」が発足したことを発表しました。
このフォーラムには、
- 行政
- 漁業関係者
- 地域住民
- NGO
- 民間企業
- 研究者
など、さまざまな立場の人々が参加します。IUCNが目指しているのは、一つの組織が自然を守ることではなく、地域全体で自然を支える仕組みをつくることです。
1. 海は、一つの組織だけでは守れない
海には境界線がありません。魚も、ウミガメも、サンゴも、行政区分を理解して生きているわけではありません。だからこそ、漁業。観光。港湾。地域開発。自然保護。それぞれが別々に取り組んでも、海全体を守ることは難しくなります。IUCNは今回、多様な関係者が同じテーブルにつき、海域全体を一つの生態系として考える場を設けました。
2. 「管理する」から「共につくる」へ
従来の自然保護は、専門家が計画を立て、地域へ伝える形が中心でした。しかし今回のフォーラムでは、地域住民や漁業者も、意思決定の当事者として参加します。IUCNは、持続可能な海洋利用を実現するためには、地域社会が主体となる協働型のガバナンスが欠かせないとしています。自然保護は、誰かが管理するものではなく、関わる人たちが一緒につくるものへと変わり始めています。
3. 自然保護は「対立」ではなく「対話」から始まる
自然保護では、しばしば「守る人」と「利用する人」が対立するように語られます。しかし実際には、自然の恩恵を受けながら暮らしている人たちこそ、長期的に自然が豊かであり続けることを願っています。だからこそ、重要なのは、一方が正解を示すことではなく、互いの立場を理解しながら対話を重ねることです。自然保護とは、生態系を守る活動であると同時に、人と人との関係を育てる活動でもあります。
観省庵の視点
自然界には、一つだけで完結する命はありません。花は蜂とつながり、蜂は土とつながり、土は微生物とつながっています。人もまた同じです。自然を守るには、一人の専門家より、多くの人が少しずつ関わることの方が、長く続く力になるのかもしれません。
今日の省察
私たちは、「誰がやるのか」を考えがちです。しかし自然界には、一人で完結する役割はありません。森も、海も、土も、多様な命が支え合って成り立っています。自然保護もまた、多様な人が支え合うことで、初めて未来へつながるのかもしれません。
明日への問い
私は、一人で頑張ろうとしていないだろうか。周りの人と力を合わせることで、もっと大きな価値を生み出せることはないだろうか。
