経費を理解する。個人事業主の節税対策とは?

経費 暮らし

損をしない工夫をしながら、経費を積み上げることができれば、確定申告では大切です。

覚える式は、2つ。

①事業の売上ー事業にかかった経費=事業所得

②事業所得ー所得控除=課税される所得

事業所得を小さくし、所得控除が大きくなると課税されるパイである所得が小さくなるため節税になるということです。「たくさん稼いで税金を納める」のが一番ですが、事業立ち上げ初期はそうはいってられない事情もあるかと思いますので、合法的に経費をどのように積み上げるか?が大事になります。

しかし、経費を増やせば、お金の支出は増えるので自分のお金は減ります。生活費を圧迫してしまうと本末転倒なため、経費として計上でき、自分の生活費を圧迫しない方法を考える必要があります。

生活費を事業の経費に計上するための条件とは?

事業に関係する支出です。事業に関係のないものは経費にはできません。その際インパクトの大きいものを経費にできると大きいです。

特に家賃(賃貸)は大きな金額を占めるので、事業に関係する場合(家でZOOM会議等をするなど)は、必要な区画分を経費として申請することを考慮しましょう。(全額計上はできません。)

そのほか、光熱費や電話代も検討しましょう。

項目賃貸住宅(借家)持ち家(自己所有)
経費計上できる項目家賃のうち、事業に使用する部分の割合減価償却費、固定資産税、住宅ローン利息の一部など
経費の根拠家賃は支出として毎月発生しているため経費対象資産として所有しているため、原則は「減価償却」で処理
按分の目安面積比・時間比などで事業利用部分を算出同様に按分(事業で使う面積・時間割合に基づく)
項目の計上例家賃 × 事業利用割合(例:30%)建物取得費 × 償却率 × 事業利用割合 など
その他経費として扱える費用水道光熱費、インターネット代、火災保険料の按分など同上(使用実態に応じて按分)
注意点全額は不可。按分の根拠資料(図面・日報など)を残すこと減価償却対象になるため、売却時に譲渡所得税へ影響する可能性あり
所得税への影響経費が大きいため、節税効果あり減価償却により節税可能だが、資産とのバランスに注意

按分の目安は6割程度というのは下記書籍でも言及されていますが、実態に合わせて調整をしてください。

交際費について

交際費とは、事業に関係のある取引先や顧客などとの関係を築くために使った接待・贈答・慰労などの費用のことです。

主な交際費の例(経費計上できる可能性あり)

内容具体例
飲食代取引先との会食、打ち合わせ後の接待など
贈答品お歳暮・お中元・お礼の品(名刺交換済みの取引先など)
慰労・祝儀従業員や取引先への慰労会、開業祝いや取引先への弔慰金など
接待にかかる交通費等タクシー代・移動費など、直接的に交際目的に付随するもの

経費として認められにくい例(私的な支出・証拠不足)

内容説明
家族との食事たとえ自営業であっても、私的な支出と判断される
記録のない飲食費誰とどこで何の目的で使ったか記録がないと、交際費と認められない場合あり
接待先が存在しない場合相手の名前や会社名が明記されていない、架空の支出

備品について

青色申告者の備品購入:経費の基本ルールは下記です。

区分内容
経費 or 資産購入金額が10万円未満:その年の経費として一括計上可能
少額資産の特例(年間300万円まで)10万円以上~30万円未満:一括で経費計上できる(青色申告者の特典)
減価償却対象10万円以上:原則として「固定資産」となり、耐用年数に応じて減価償却が必要
使用割合
仕事でしか使わない→全額経費/私用と併用→**按分(使用割合)**して経費計上

青色申告の減価償却

購入金額(税込)経費計上方法
10万円未満全額その年の経費に計上
10万円以上30万円未満年間300万円までは全額その年の経費に計上。1
30万円以上固定試算に計上。減価償却が必要(法定耐用年数に応じて毎年少しずつ)青色申告の減価償却

備品購入に関する注意点

項目内容
耐用年数の確認国税庁「耐用年数表」で確認(例:パソコン4年、デジカメ5年、机8年など)
使用割合の記録家庭との併用がある場合は、業務使用割合(例:70%)を記録して按分経費にする
領収書・型番・用途の記録税務調査対策のためにも、購入理由や型番・事業利用の記録は残すこと
  1. 特例を受けるための要件があります。青色申告決算書の「減価償却費の計算」欄に必要事項を記載して少額減価償却資産の所得価額を確定申告書に添付して提出する必要がある。 ↩︎

減価償却の計算例(定額法)

例:30万円のパソコンを購入し、耐用年数が4年の場合
→ 1年あたりの経費は:30万円 ÷ 4年 = 7.5万円(年)

※初年度は購入月によって月割りで計算されます。

専従者控除について

個人事業主が家族(配偶者や親族)を事業に従事させている場合に、その家族への給与または労務提供分を経費として認める制度です。
ただし、青色申告者と白色申告者で取り扱いが異なります。

条件内容
生計を一にする配偶者・親族同じ家計で暮らしていること(住民票が別でもOKな場合あり)
年齢配偶者は年齢不問/その他の親族は15歳以上
専ら従事年間を通じて6か月超、その事業に専ら従事していること

青色申告と白色申告の違いまとめ

項目青色申告白色申告
控除の形態実際に支払った給与を「経費」にできる所得から一定額を「控除」できる
控除額の上限なし(ただし適正な範囲)配偶者:86万円/その他:50万円まで
事前手続き専従者給与届出が必要開業届のみで可
実際の給与支給必要(定期支給、帳簿管理も必要)不要(支給しなくても控除対象)

青色申告の方が柔軟で有利だが、記帳や手続きの手間が増える。注意点としては事前に届け出た額以上は出せないことです。

支払い利息について

支払い利息とは、借入金やローンの返済時に支払う利息部分のこと。元本返済部分は経費にはなりませんが、利息部分は事業に関連していれば経費に計上できます。

条件内容
事業に関係する借入であること例:事業資金・備品購入・店舗改装・仕入れなど
借入先が金融機関または取引先銀行・信用金庫・国金などからの融資、または仕入先からの分割払いなど
利息部分が明確で、支払い実績があること利息額の領収書・返済明細・契約書等が必要
私用との区分が明確であること生活費やプライベート支出への借入利息はNG(按分不可)

借金画ある人は、利子を経費に計上できないかチェックする。勘定科目は「利子割引料」を使う。

利子割引料に含まれるもの

項目内容・例経費計上の可否備考
銀行借入の利息事業資金のための借入に対して支払う利息「支払利息」として経費計上
手形の割引料(割引手形)手形を期日前に金融機関に持ち込んで現金化した際の手数料「割引料」として処理
買掛金の分割払い・リース契約の利息相当額仕入や設備リースの契約時に含まれる利息分契約書で利息部分が明示されていれば可
クレジット会社への分割手数料売上のクレジット分割時、カード会社へ支払う手数料内容により「支払手数料」または「利息」として処理可
約束手形の利息事業上の支払いを手形で行った場合に発生する利息経費処理可能
住宅ローン利息(事業非関連)自宅の住宅ローンにかかる利息×事業に無関係なため経費不可
カードローン利息(私的支出)私人名義での生活費等の借入にかかる利息×プライベート用途であれば不可

まとめ

・事業の売上ー事業にかかった経費=事業所得の公式を覚える

・経費を合法的に積み上げる意識が重要

・生活費に手をかけない無理のない範囲で行う

・経費は事業に関係するものでなければいけない

・事業に関係するものであれば、家賃、光熱費、備品、接待費などを経費として計上できる。

・青色申告であれば、30万未満はその年に全額経費計上できる

・30万円以上は固定資産として耐用年数に応じて減価償却費として計算する

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