この記事はこんな人におすすめ
- 成果を「やったこと」ではなく「結果」で測りたいマネージャー
- プロジェクト評価でアウトプットとアウトカムを混同してしまう方
- NPO・行政・教育分野で成果指標の設定を考えている担当者
- ビジネスにおける「真の価値」を捉えたい経営者
記事の概要
ビジネスや社会活動において成果を評価する際、アウトプットとアウトカムはよく使われる重要な概念です。
- アウトプット(Output):活動の直接的な産物や提供物
- アウトカム(Outcome):アウトプットによって生じた効果や社会的な変化
両者を混同すると「たくさん作業したのに成果が出ない」といった問題につながります。
この記事では、定義・違い・具体例・使い分け方を整理します。
この記事を読むと変わること(Before / After)
Before | After |
---|---|
アウトプットとアウトカムの違いが曖昧 | 両者を明確に説明できる |
作業量で成果を評価していた | 結果や変化を重視できる |
プロジェクトが自己満足で終わっていた | 社会的・事業的なインパクトを測れる |
アウトプットとは?
アウトプット=活動の結果として生み出された具体的な成果物やサービス。
- 例1:研修を開催した回数、参加者数
- 例2:新製品をリリースした、広告を配信した
- 例3:冊子を制作・配布した
「何をしたか」「何を作ったか」 にフォーカスする。
アウトカムとは?
アウトカム=アウトプットがもたらした効果や変化、社会的・経済的インパクト。
- 例1:研修を受けた社員のスキル向上、離職率低下
- 例2:新製品による売上増加、顧客満足度向上
- 例3:冊子を読んだ人の行動変容、社会課題の改善
「その結果どうなったか」「どんな価値を生んだか」 にフォーカスする。
下記のようなニュースは、ニュース記事にはなりやすい(=インプレッションは多くなります)ですが、その後の変化などは報道されにくいです。ぜひともアウトプットとアウトカムの違いを理解してください。本質的には、その後のアウトカムが重要になります。
・資金調達した
・ある大手の会社に入社した
・XXX円の売上を出した
・新製品をリリースした
アウトプットとアウトカムの違い
項目 | アウトプット | アウトカム |
---|---|---|
定義 | 活動の直接的成果物 | 成果物による効果や変化 |
評価軸 | 数量・回数・提供実績 | 行動変容・売上・社会的インパクト |
時間軸 | 短期的に把握しやすい | 中長期的に現れる |
例 | 研修回数、配布冊子数 | スキル向上、売上増加、社会改善 |
活用事例
1. ビジネス
- アウトプット:営業訪問回数、広告配信数
- アウトカム:成約件数増加、売上成長
2. 行政・NPO
- アウトプット:講座開催数、配布資料数
- アウトカム:市民の健康改善、教育格差の縮小
3. 教育分野
- アウトプット:授業時間数、教材配布数
- アウトカム:学力向上、進学率アップ
アウトカム志向が重要な理由
- 「やった感」からの脱却:作業量ではなく成果で評価する
- 資源配分の最適化:効果が大きい施策に集中できる
- 説明責任の強化:投資家・市民・上司に成果を説明できる
特に社会課題や公共政策では「アウトプット型指標」に偏ると意味がなく、「アウトカム型指標」で成果を測ることが求められています。
アウトプットのみに注目することのデメリット
アウトプットの数だけでは「その結果どうなったのか」が示せず、信頼を損ねる可能性があります。
「やった感」で終わるリスク
研修を実施した、広告を出稿した、といったアウトプットがあっても、実際に効果(アウトカム)がなければ意味がありません。
「数をこなした=成果」と勘違いしてしまう恐れがあります。
真の課題解決につながらない
作業量や実績に偏ると、顧客や社会にとって本当に価値ある変化(売上増加・行動変容・課題改善)が見えなくなります。
リソースの無駄遣い
本来なら成果を生む施策に集中すべきなのに、数字だけ追って効果が薄い活動にリソースを費やしてしまう危険性があります。
私の経験上、Visionから逆算されていないと数字目標だけが掲げられ、結果に振り回される、短期思考
になりがちです。
説明責任を果たせない
経営層や投資家、行政の場合は市民に対して「どんな成果があったのか」を説明する必要があります。
よくある質問(FAQ)
Q1. アウトプットだけでは不十分ですか?
→ 不十分です。アウトプットは必要条件ですが、最終的な価値はアウトカムで測るべきです。
Q2. アウトカムをどう測定する?
→ KPI設計やアンケート調査、行動データ、売上や成果指標を用います。
Q3. KGI/KPIとの違いは?
→ アウトプットはKPI(プロセス指標)に近く、アウトカムはKGI(ゴール指標)に近い位置づけです
まとめ
- アウトプット=成果物(何をしたか)
- アウトカム=効果(結果どうなったか)
- 成功するプロジェクトは「アウトカム志向」で設計される
- KPI/KGIと連動させることで、実務に落とし込みやすくなる
参考書籍
〈効果的な利他主義〉宣言!――慈善活動への科学的アプローチ
NGO・NPO担当者様には一読を推奨します。この考え方が正しいというものではなく、こういう考え方でインパクトを出していく方法があるというアプローチを参考にしてください。社会にインパクトを与えるには、もっと別の活動をしたことが良いという事例がでてきます。
社会が変わるマーケティング ― 民間企業の知恵を公共サービスに活かす
マーケティングの概念を公共分野に転用した事例が載っています。
私も下記本を読んだきかっけでNPO・NGO団体の支援活動に興味を持ちました。
また前職で多くのNGO・NPO団体様とお仕事をさせていただきました。
ぜひ読んでみてください。
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自然保護団体様など、自然に関するコンテンツを扱っている団体様で数字をベースにした活動をしていきたいが、やり方がわからないなどざっくりしたお悩みでも構いません。ぜひご相談ください。
寄付金向上、署名数向上、メルマガ会員数向上などはもちろん、その先のアウトカムまで考えながら進めさせていただきます。
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