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ウェブサイト改善に役立つCREATEアクションファネルとは?行動科学のフレームワークで考える

2026.02.14  ·  更新: 2026.03.19
ウェブサイト改善に役立つCREATEアクションファネルとは?行動科学のフレームワークで考える

サイト改善は、単なる数値改善ではありません。

大切なのは、ユーザーにとって「気持ちよく利用できる体験」を設計することです。日本人にとっては「おもてなし」という言葉が分かりやすいでしょう。リアル店舗だけでなく、Webサイト上でも“おもてなし”は実現できます。

感覚的に「おもてなし」の設計ができる天才的なクリエイターやデザイナーは存在しますが、多くの組織ではそうはいきません。複数人が関わり、複数人で意思決定を行い、予算を使い、成果を求められます。

だからこそ重要になるのが、感覚ではなく、構造でお互いが改善を語れる状態をつくること。そのためには、ある程度の定量化が必要です。現状を正しく認識し、どこに課題があり、何から手をつけるべきかを明確にします。

では、定量化していくための分析の観点ではどのように考えていけばよいのでしょうか?そのヒントとなるのがCREATEアクションファネルという考え方です。

CREATEアクションファネルとは?

CREATEアクションファネルは、『Designing for Behavior Change』の著者であるStephen Wendel(スティーブン・ウェンデル)によって開発された行動科学フレームワークです。

CREATEアクションファネルは、ユーザーが最終的に行動(購入・問い合わせ・登録など)を実行するまでに直面する心理的・認知的な障壁を分解したモデルです。

CREATEは以下の頭文字です。『行動を変えるデザイン』P97掲載の図に意味を追加しています。
ターゲットごとに、気づきから最後の行動までに間に5つの壁があります。

要素意味(追記)
C:Cue(キュー)気づかない壁そもそも存在を認知していない
R:Reaction(反応)否定的な反応の壁第一印象で拒否される
E:Evaluation(評価)費用>効果の壁得られる価値より負担が大きく感じる
A:Ability(アビリティ)今できない壁手間・理解不足・スキル不足
T:Timing(タイミング)今じゃない壁必要性はあるが緊急性がない
E:Execute(実行)
実際のアクション

出典: スティーブ・ウェンデル博士

ユーザがサイトを「どのように知って、どのように使って、行動してもらえたのか?」一連の流れが意識できます。このフレームワークを使う際のポイントは下記です。

ファネルで重要なのは、どのステージにおいても、他の選択肢より効果的で良い行動だった場合にだけ次のステージに行ける、ということだ。常に他の選択肢はある。他の選択肢とは、虎視眈々と私たちを狙う他のキュー、直感的、意識的に考えている別の行動、もっと急ぎで優先度の高いことなどだ P97『行動を変えるデザイン』

製品やサービスに独自性がない限り、ユーザには他の選択肢があるということ。離脱する理由は複合的です。生活が忙しかったり、競合のほうがコミュニケーションが伝わったなどです。そのことを意識して、サイト内でできる限り「壁」をなくすコミュニケーションを考えたりや機能を用意するのが望ましいです。

なぜWEB改善にCREATEアクションファネルが有効なのか?

多くのサイト改善は、

  • CTAボタンの色を変える
  • ファーストビューを改善する
  • フォーム項目を減らす

といった“表面的な施策”にとどまります。

しかし本質は、ユーザーがどの壁で止まっているのか?どんな心理や考えで離脱しているのか?

を特定していくことです。

多くのチームは、ユーザーが製品を使い続けるのをやめてしまうと、UIに小さな変更を加えることで不安を感じます。しかし、研究によると、真の問題は心理的な摩擦であることが分かっています。これは、脳内に隠れた心理的な妨害要因があり、「後で考えよう」と考えさせてしまう状態です。引用:https://uxmag.com/articles/friction-science-why-users-drop-off

That discomfort triggers a cognitive chain reaction:

  1. Uncertainty → “Is this the right step?”
  2. Risk calculation → “What if I make a mistake?”
  3. Effort estimation → “This is going to take time…”
  4. Emotional resistance → “I don’t feel like doing this now.”
  5. Avoidance → “Let me come back later.”
  6. Drop-off → The journey silently ends.

その不快感は認知連鎖反応を引き起こします。

  1. 不確実性→ 「これは正しいステップなのか?」
  2. リスク計算→ 「もし間違えたらどうしよう?」
  3. 労力の見積もり→ 「これは時間がかかりそうだ…」
  4. 感情的な抵抗→ 「今はこれをやりたくない。」
  5. 回避→「後でまた来ましょう。」
  6. 降車→静かに旅は終わります。

MIT’s Cognitive Interaction Lab reports: “A drop-off is almost always emotional before it becomes behavioral.”

CREATEアクションファネルは、改善すべきステップとその心理要因を考えるための観点を網羅的に意識するフレームワークとして使えます。

▼あわせて読みたい!▼

各壁の具体的な意味とWEB改善施策

① Cue(キュー)|気づかない壁

状態

  • サービスの存在を知らない
  • 自分事化していない
  • 課題を認識していない

改善施策

  • リアルでの接点設計
    • ユーザーの生活導線上での接点
    • イベント・展示会への露出
    • 折り込みチラシ
  • オンラインでの接点設計
    • SEO設計
    • 広告設計
    • SNS設計
    • 口コミ設計
    • など
  • サイト内での改善
    • ファーストビューでの課題提示など

最初の壁が弱いと、どれだけUIやUXを改善しても効果は薄いです。極論ですが「サイトに辿り着けないのが最悪のUX」です。サイト内の体験改善だけをUXとして捉えても、そもそも「ユーザに知られていないことでユーザの不便が解消されていないとするならば、体験価値は悪い」と個人的には考えます。

UI が始まった瞬間に、UX はすでに半分終わっているという言葉もあります。

私の経験でも下記のようなご相談は多いです。
ウェブサイトのリニューアルをしてデザインは良くなったけど、SEO設計ができていなく、検索で辿り着かなくなってしまった。

サイトに辿り着けなければ、サイト内の動きをいくらよくしようが、それはユーザの行動に良い影響を与えることはできません。

必ずしもSEOだけではなく、口コミで紹介される際のLP設計でもいいのです。
いかに気づいてもらうかというキューの視点から設計できるかが重要です。

② Reaction(反応)|否定的な反応の壁

状態

  • 怪しい
  • 自分向けじゃない
  • 売り込み感が強い
  • ページが重い、使いずらい

改善施策

  • 実績・社会的証明
  • デザインの信頼感向上
  • コピーのトーン調整
  • ユーザーボイス掲載
  • サイト速度改善の見直しなど

第一印象は3秒で決まります。現代は情報が反乱し、アテンションの奪い合いです。瞬時に信頼してもらえるか、話を聞いてもらえるかの設計が重要です。サイト速度もここに関わります。Googleによると、サイトスピードを1秒改善することでモバイルのコンバージョンが最大で 27% 上昇します。買い物客の 70% はモバイル経由なので、サイトスピードが収益にとって大きなインパクトをもっていることは明らかです。

③ Evaluation(評価)|費用>効果の壁

状態

  • 高い
  • 面倒
  • リスクがある

改善施策

  • ベネフィットの明確化
  • 具体的数値提示
  • 無料体験
  • 返金保証
  • 事例の提示など

ここで重要なのは、「価格」ではなく「価値」の可視化です。ユーザは「失敗したくない」気持ちがあるため、そこを払拭するコミュニケーションが必要です。

④ Ability(アビリティ)|今できない壁

状態

  • 使い方が分からない
  • フォームが複雑
  • 決裁権がない

改善施策

  • 初めての方ページ
  • ステップ表示・購入までの流れ
  • メニュー改善
  • ナビゲーション改善
  • フォーム簡略化
  • ガイド動画
  • FAQ強化
  • 社内説得用の資料テンプレ
  • など

アビリティの壁はサイト内の体験価値向上が鍵です。できる限り少ないタップで、必要な情報に到達でき、疑問を解消して、背中を後押しできるコンテンツや機能を考えましょう。

⑤ Timing(タイミング)|今じゃない壁

状態

  • 興味はある
  • でも急いでいない

改善施策

  • 限定オファー
  • 期限提示
  • 機会損失の提示
  • リマインドメール
  • リターゲティング広告

緊急性の設計が鍵になります。今やることが、効果を生むことを意識していただくことが重要です。人間にはコンフォートゾーンがあり変化を嫌います。ここでは今やること、やるべき価値をしっかり見せられることが大事です。「機会損失」というキーワードが大切です。
実際に、やらないことによる損失は大きいものです。世の中は「複利」の力が働いているからです。SEOであれば、記事の積み重ねが重要です。勉強も同様です。改善にも複利がききます。特にECを運営している会社であれば、サイト内の水漏れが原因で売上が伸びていないこともあります。どこに課題があるのか?

CREATEアクションファネルの使い方(実践ステップ)

Step1:CV地点を明確化

問い合わせ?購入?資料DL?
※企業ごとにCV地点は異なります。

Step2:各壁での離脱率を分析

GA4探索レポートでのファネル分析やヒートマップで分析し水漏れ箇所を特定しましょう。
そもそも流入量が少ない場合は、どこに接点を持つべきかを考えましょう。

Step3:仮説を立てる

どの壁が最も高いか?考えて解決するとインパクトがでそうな壁を特定します。

Step4:壁ごとの施策を実行

1つずつ改善し、ABテストを行ったり施策を実行し反応を検証します。

CREATEは“行動科学型WEB改善”

CREATEは心理学・行動経済学に近い構造です。

  • 人は合理的に動かない
  • 壁があると行動しない
  • 行動は条件が揃ったときに起こる

つまり、

行動=動機 − 壁

と捉えることができます。

CREATEアクションファネル|フェーズ別「問いの設計」

WEB改善は施策から入ると失敗します。

重要なのは、

どの壁で止まっているのか?
その壁に対して、どんな問いを立てるか?

です。

CREATEの壁に対して「問いを立て」考えていくことが大事です。

① Cue(気づかない壁)の問い設計

本質

「そもそも認知されていない」

第一の問い

「必要な人に届けられているか?」

この問いから全てが始まります。

深掘りの問い

  • 自社のサービスが本当に必要な人は誰か?
  • その人は今どこで情報を探しているか?
  • その人はどんなキーワードで検索するか?
  • そもそも“課題”を自覚しているか?
  • 自社サイトのファーストビューはその人に刺さっているか?

定量指標例

  • アクティブユーザ数/新規ユーザー数と割合
  • 検索クエリ数・キーワード数/表示回数/クリック数/CTR
  • 流入チャネル別CVR
  • 指名検索と非指名検索の比率
  • ランディングページのエンゲージメント率(直帰率)など

② Reaction(否定的反応の壁)の問い設計

本質

「第一印象で拒否される」

第一の問い

「見た瞬間に、信頼できると感じてもらえているか?」

深掘りの問い

  • デザインは古く見えないか?
  • コピーは売り込み臭くないか?
  • 実績や社会的証明は十分か?
  • 誰向けのサービスか明確か?
  • 誰が発信しているかわかるか?
  • 怪しさを感じさせる要素はないか?

定量指標例

  • 直帰率
  • スクロール率
  • 滞在時間
  • ファーストビュー離脱率
  • サイト速度など

③ Evaluation(費用>効果の壁)の問い設計

本質

「価値が伝わっていない」

第一の問い

「このサービスを使う理由が、明確に言語化されているか?」

深掘りの問い

  • 価格に対する価値は具体的か?
  • ベネフィットは抽象的すぎないか?
  • 数字や実績で裏付けられているか?
  • 導入後の未来が想像できるか?
  • 不安要素は払拭できているか?

定量指標例

  • サービスページ滞在時間
  • 料金ページ離脱率
  • 比較検討ページの閲覧率
  • カート投入率
  • シミュレーション利用率など

④ Ability(今できない壁)の問い設計

本質

「やりたいけど、できない」

第一の問い

「ユーザーは“迷わず”行動できる状態か?」

深掘りの問い

  • フォームは多すぎないか?
  • 専門用語を使いすぎていないか?
  • ステップは可視化されているか?
  • 決裁者向け情報はあるか?
  • スマホで操作しやすいか?

定量指標例

  • フォーム離脱率
  • エラー発生率
  • 入力完了率
  • モバイルCVRなど

⑤ Timing(今じゃない壁)の問い設計

本質

「必要だが、緊急ではない」

第一の問い

「“今やる理由”を提示できているか?」

深掘りの問い

  • 期限は提示されているか?
  • 限定性はあるか?
  • 今やらないリスクは伝えているか?
  • リマインド導線はあるか?
  • 比較検討期間を短縮できる設計か?

定量指標例

  • 再訪率
  • リターゲティングCVR
  • メール開封率
  • CVまでの平均日数など

CREATEは「問いの連鎖」で使う

重要なのは、1つの問いで終わらせないことです。アクションファネルは一つのきっかけにすぎません。

例:

Cue
→ 必要な人に届いているか?
→ 必要な人とは誰か?
→ その人はどこにいるか?
→ どんな言葉を使うか?

問いを掘ることで、施策が自然と生まれます。

組織で使うときのポイント

会議では、

「施策どうする?」ではなく、

今、どの壁の議論をしているのか?

をまず明確にすること。CREATEは、議論の交通整理ツールにもなります。

CREATEアクションファネルフレームワーク プロンプト

下記を用いて対象サイトのURLに自社を入れてみてください。
まずはブレスト前にざっくり理解する用途です。
設計の前提等を加えるとさらに磨かれると思います。

あなたはUX改善コンサルタントです。 対象サイトについてCREATEアクションファネルフレームワークを用いて分析したのち課題と対策を指摘してください。 ##CREATE アクションファネルフレームワーク 要素 壁 意味(追記) C:Cue(キュー) 気づかない壁 そもそも存在を認知していない R:Reaction(反応) 否定的な反応の壁 第一印象で拒否される E:Evaluation(評価) 費用>効果の壁 得られる価値より負担が大きく感じる A:Ability(アビリティ) 今できない壁 手間・理解不足・スキル不足 T:Timing(タイミング) 今じゃない壁 必要性はあるが緊急性がない E:Execute(実行) 実際のアクション ##対象サイト:XXX

まとめ

CREATEアクションファネルは、WEB改善を“デザイン改善”から“行動設計”へ進化させるフレームワークです。

改善の本質は、

  • CVRを上げることではなく
  • 行動を阻む壁を1つずつ壊すこと

です。数値改善よりもさらに一段視野を広げてターゲットユーザ、セグメントユーザごとにどこに壁があるのかを意識して仮説立て分析をしていくことで施策が出せます。

おすすめ書籍

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参考サイト

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