本記事はウェブマーケター・デジタルマーケターの方向けの内容になります。
UTMタグ付けの「典型的な失敗パターン」→「設計・組織・技術・分析・運用」の観点で整理します。(GA4運用・実務視点で構成しています)
UTM(Urchin Tracking Module)とは?
Urchin Tracking Module (UTM)は、ウェブ解析でトラフィックソース、キャンペーン、キーワードなどを追跡するためにURLにパラメータを追加する方法です。元々UTMは1996年にUrchin Software Corporationによって開発。2005年、GoogleはUrchin(有料の分析ツール)を買収し、UTMをGoogle Analyticsに組み込みました。Urchin Tracking Module (UTM)は、ソース、媒体、キャンペーン名などのキャンペーンデータを動的にURLに付加することで、マーケティング担当者がさまざまなマーケティング施策の効果を追跡できるようにします。
ウェブサイトへの流入経路はいくつかあるのですが、その流入とウェブサイトの接点をつなぐランディングページ(到着先のページ)に目印をつけることでどこからやってきたのか?の情報が取得できます。
UTMは何をしている?
たとえば、次の2つのURLはログインすると見た目はほぼ同じですが、分析結果はまったく変わります。
https://example.com/
https://example.com/?utm_source=twitter&utm_medium=social&utm_campaign=spring
URLの?以降がUTMパラメータと呼ばれるものです。このパラメータ情報があるおかげで、後者のURLは「これは twitter / social / springキャンペーン からの流入ですよ」というラベルがつき理解できます。
基本のUTMパラメータ(5つ)
| パラメータ | 意味 | 例 |
|---|---|---|
| utm_source | どこから来たか(媒体) | twitter, google |
| utm_medium | どんな手段か | social, cpc, email |
| utm_campaign | 施策・企画名 | spring_sale |
| utm_term | 検索キーワード(主に広告) | cvr_tool |
| utm_content | クリエイティブ識別 | banner_a |
※ 必須なのは source / medium / campaign の3つです。
※https://ga-dev-tools.google/campaign-url-builder/ ←下記ツールでURLにパラメータが付与できます。
正しく条件設定ができれば有効に活用できるのですが、なんらかの問題でうまく運用できていない会社様もあります。今回は分析するにあたって陥りがちやすい17つの問題まとめました。
① 設計・戦略レベルの問題(時間をとって考えられない)
1. UTMタグを全く使用しない
・流入元・施策単位の正確な効果測定ができない
・GA4の「デフォルトチャネル」頼みになり、意思決定に使いずらい
できていない要因:
・UTMの理解不足(UTMとは何か?どのように機能するのか?なぜ重要なのか?)
対策
・UTMでできることを調べる
2. オフラインマーケティングにおけるアトリビューション戦略の欠如
・QR/短縮URL/LP分岐がなく、効果測定不能
・オンライン指標(CV・来店・問い合わせ)と結びつかない
例えば、チラシを配布している企業様が、その効果を計測しようとすると難易度は高くなります。
オフライン施策は、どうしても「どこから来たのか」が見えにくいためです。
イベントの場合であれば、
「このイベントをどこで知りましたか?」
というアンケートを実施することで、チラシ経由の来場者を把握できます。
配布したチラシの母数と、実際にアンケートでチラシと回答した人数の割合から、おおよその効果を推測することは可能です。
同様の考え方は、ウェブセミナーにも応用できます。
特に、ウェブサイトへの遷移を促す場合は、URLにパラメータ(UTM)を付与したうえでQRコードを生成することで、QRコードを読み込んだ人数や、その後の行動を計測できるようになります。
私自身も、過去にクライアント様との取り組みで営業さんが配るチラシの効果計測を実施した経験があります。
100%の効果測定は難しいものの、今まで0だったものが見れるようになりました。
具体的には
◆ QRコード経由の流入数
◆ 流入後のページ閲覧・コンバージョンなどの行動
◆ チラシの配布場所ごとの成果比較
といった分析が可能になりました。
その結果、
「どの配布場所からの反応が多いのか」
「そもそもチラシを配り続けるべきかどうか」
といった判断を、感覚ではなくデータをもとに行えるようになりました。
できていない要因:
・UTMの理解不足(UTMとは何か?どのように機能するのか?なぜ重要なのか?)
・設計力・実装力不足(どのようにGA4側に反映されているかがイメージできない)
要因
・UTMへの理解と実装を行う
対策
・UTMでできることを調べる
・DebugViewとGTMを使いながら実際にどのような値がどのように格納されるのか理解する
3. 曖昧または不明瞭なキャンペーン名の使用
・spring_campaignかたやcampaign_summerなど命名ルールがバラバラ
・後から見て「何の施策か分からなく」なっているケースも
要因
・都度手入力で設計するのでばらつきがでる
・担当者が決まっていないためその場その場で担当者が検索して実行する
・代理店が複数入っており統合できずバラバラで管理
対策
・社内ガイドライン作成
・社内用のUTMテンプレート作成
・社内相談役の設置
② 命名・ルール・ガバナンスの運用問題(悩ましい)
4. 名前・スペル・大文字小文字の不統一
例:
Facebook/facebook/fbCPC/cpc
※GA4では別データとして分断されます
要因
・都度手入力で設計するのでばらつきがでる
・担当者が決まっていないためその場その場で担当者が検索して実行する
・代理店が複数入っており統合できずバラバラで管理
対策
・社内ガイドライン作成(明確で具体的で意味のあるキャンペーン命名など)
・社内用のUTMテンプレート作成
・専門人材を設置する
5. 定義されたプロセスの欠如
・担当者ごとに独自ルール
・過去施策と比較できない
・退職・引き継ぎで破綻
要因
・専門人材がいないため都度担当者が業務発生ごとに調べている
・スプレッドシート・ツール・承認フローがない
対策
・設計に時間をかけ標準化プロセスを構築する
・設定の二重チェック体制を作る
・実装者と公開者を分ける
6. 非標準値の使用
・utm_medium=advertising など独自値
・GA4のチャネル定義と噛み合わない
要因
・UTMとGA4のチャネル定義の理解不足
対策
・GA4のチャネル定義について調べる
https://support.google.com/analytics/answer/9756891?hl=ja
③ 実装ミス・技術的エラー(よくある事故)
7. 構文エラー
例:・? が抜けている・& の代わりに + を使用
・URLエンコード未対応
要因:
・手動で入力
・知識不足
対応
・?を複数使う場合は&で接続するものと知る
・パラメータ発行ツールを利用する
・※https://ga-dev-tools.google/campaign-url-builder/ ←下記ツールでURLにパラメータが付与できます。
8. ダブルUTMタグ付け
・ランディングページURLにUTMパラメータが誤って複数回追加された場合に発生します
・ちなみに重複した場合、Googleアナリティクスは重複パラメータの最後の値を使用します
要因
・確認不足
・スプレッドシート・ツール・承認フローがない
対策
・設定の二重チェック体制を作る
・実装者と公開者を分ける(バイアスを減らす)
9. 特定の重要パラメータが欠落
・utm_source や utm_medium がない
・キャンペーンとして集計されない
要因
・GA4とUTMのルール理解不足
対応
・必須なのは source / medium / campaignと心得る
10. UTMを付けるとページが壊れる
・SPA/JS依存の不具合
・リダイレクト設計ミス
要因
・システム設計とパラメータ設計要件がずれている
対応
・分析家に意見をもらいながらシステム実装を考慮する
・専門会社に調査依頼
・リダイレクト時の挙動を検証ツールで確認
④ 広告・ツール連携の誤解(GA4×広告あるある)
11. Google広告の自動タグ設定のみに依存
・他媒体(Meta / Yahoo / X等)と比較不可
・キャンペーン粒度が粗い
・広告経由が減少し、direct流入が多くなった場合確度が高まります
要因
・ブラウザのプライバシー制限
・システム側で任意のパラメータが除外される
対応
・上記の要因から広告のリンク先URLを確認し調査する
・(次の項目と矛盾しますが、)自動ではなく手動パラメータで試してみる
12. 手動UTMでGoogle広告の自動タグを上書き
・gclid が無効化
・Google広告×GA4の連携が壊れる
要因
・Google広告側の設定理解不足
対策
・Google 広告で自動タグ設定をオン時にすると心がける
13. utm_source_platform / utm_id を使っていない
・GA4のキャンペーン階層分析が弱くなる
・媒体×施策×IDの整理ができない
要因:
・理解不足(できることを知らない)
・実装のコストが高く優先度を高められない
対応:
・utm_source_platform / utm_idでできることを知る
※utm_idパラメータはGoogle広告以外の費用データをGA4にインポートする際に便利
⑤ 分析・運用フェーズでの問題(もったいない)
14. 内部リンクへのUTM付与
・自社遷移が「新規流入」として上書き
・セッション分断・CV歪み
要因
・ベストプラクティスの理解不足
対応
・内部リンクにUTMパラメータは利用しない
実務でよく見かけます。。。。
15. アナリティクスツール側の情報取得時にUTMを削除
・GTMやCMSで誤って除去
・キャンペーン情報が消える
要因
・プライバシー設計や過去の設定との競合
対応
・要因を調査し、どこで問題が起きているか明らかにする
・カスタムスクリプト等を使って取得できないか模索する
・緩和条件や今後の収集方針を決める
16. UTMをはじいてしまうリダイレクトを無視
・短縮URL/301設計ミス
・最終LPにUTMが届かない
要因:
・URLの末尾のスラッシュの有無でリダイレクトされてしまう
・別サイトへ遷移
・予約システムやチェックアウトシステムなどサードパーティツールのルール
対応:
・ウェブサイトの設定・リダイレクトルールを見直す
・クロスドメイントラッキングで対応できるか検討
17. 公開前にテストしない
・GA4リアルタイムやDebugViewでデータ確認しない
要因
・ベストプラクティスの理解不足
・DebugView等の検証方法の理解不足
対応
・公開前に検証or公開後にすぐにリアルタイム等で確認
全体を一言で整理すると
UTMタグ設計は「付ける作業」ではなく「設計 → ルール → 実装 → 検証 → 分析」まで含めた“計測インフラ設計”です。GA4を活用するにはデータを「取る」データを「見る」データを「使うの」3Stepが必要です。使う前提のデータを「取る」部分は時間をかけて実施しましょう。
基本的なUTM設定の見直しをしたい方はスポット相談も行っておりますのでご利用ください。
次のアクション(実務向け)
・UTM命名ルール表(Googleスプレッドシート)を作る
・ utm_source / medium / campaign / id の最低限ルールを定義
・公開前にチェックリスト(URL・GA4リアルタイム)を用意、値が取れているか確認してから公開
おすすめ書籍
デジタルマーケティング業界に入った若い方はこちらの書籍をおすすめします。
後輩にも啓蒙していた本です。
特に広告代理店さんでタグ設定をする方は手に取っていただきたい本です。
経験上、広告タグ周りが複雑化している中UTMパラメータやGTMを理解しないまま営業担当されている方が多く設定依頼時の確認コストが跳ね上がっているように思えます。
また複数の広告代理店さんを利用されている事業者様は、社内でルールを守って運用することを意識しないとそれぞれが独自のルールで運用しないとUTMパラメータ、GTM内がぐちゃぐちゃになります。
広告代理店さんがいなくなり、自社のスタッフがやめたときには後任の方が苦しむことになります。
日々の業務を運用しながらこのあたりの設計をするのは大変だと思います。
理由としては
・複数のクライアントを抱えておりMTGに時間を取られる
・設定業務だけを担当しているのではないので、差し込みが多くまとまった時間(インプット含む)がとれない(他にもデジタルツールの氾濫でキャッチアップすることはたくさんある)
・中でもGTMはGTM自体の理解のほか、UTMやGA4、その他分析ツール、デベロッパーツールの知識の統合が求められる
・間接業務に近く個人としてインセンティブに直結するものではない(そのわりに重い作業)
・上位レイヤーもマーケティング戦略や顧客理解に時間を使っており細かい実装部分は理解が薄い場合がある(=理想や実装・検証方法が提示できないため丸投げになってしまう)
このあたりのマスター管理を特定の専任人材に依頼しルール設計・管理をするのが良いのではと思います。GTM運用プランをお探しの方はぜひお声かけください。



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