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自然を「元に戻す」だけでは足りない 観省庵 Daily Insight For NGO/NPO 2026年6月27日

2026.06.28
自然を「元に戻す」だけでは足りない 観省庵 Daily Insight For NGO/NPO 2026年6月27日

自然保護は、新しい時代に入ろうとしている

これまで自然保護の目的は、「失われた自然を元に戻すこと」でした。森林を再生する。湿地を復元する。絶滅危惧種を守る。こうした取り組みは今も重要です。しかし2026年6月、イギリスでは記録的な熱波を受け、自然保護団体 The Wildlife Trusts は新しい課題を提起しました。それは、「これからは、自然を暑さに適応させることも必要になる」ということです。

1. 気候は、私たちが知っている自然ではなくなりつつある

記事では、長年親しまれてきたイギリスの森林や湿地が、猛暑や干ばつによって大きな影響を受けていることが紹介されています。

例えば、

  • 樹木が十分に更新できない
  • 湿地が乾燥する
  • 野鳥の繁殖時期と昆虫の発生時期がずれる
  • 山火事が増える

など、生態系全体のバランスが変わり始めています。自然は静かに変化しており、私たちが知っている景色が、そのまま未来に続くとは限りません。さらに印象的なのは記事で言及されている下記部分です。

先週、英国で最も有名な樹木の一つである「メジャー・オーク」が枯死したと発表された。この巨大で枝を広げたオークは、ノッティンガムシャーのシャーウッドの森に800年から1200年もの間立ち続け、ロビン・フッドとその仲間たちが身を隠したという伝説が残っている。専門家によると、枯死の原因は複雑で、樹木を助けようとする善意の保護活動が、その死を招いた可能性が高いという。しかし、この古木を管理していた英国王立鳥類保護協会(RSPB)は、猛暑と干ばつも原因の一つだと述べている。これは、英国全土の在来種が直面している課題を象徴する出来事である。

Last week, The Major oak – one of the UK’s most famous trees – was pronounced dead. The enormous, sprawling oak has stood in Sherwood forest in Nottinghamshire for between 800 and 1200 years, and is fabled to have sheltered Robin Hood and his outlaws. Its cause of death is complex, say experts: well-intentioned conservation efforts to help the tree likely contributed to its demise. But the RSPB, which managed the ancient tree, said that extreme heat and drought are also to blame. It’s a symbol of the challenges native species are facing nationwide.

(中略)

一本の成熟したオークの木は、2,300種以上の昆虫、菌類、鳥類、哺乳類を支えることができる。しかし、木が枯れてしまうとそうはいかない。英国の森林に関する憂慮すべき予備調査では、多くの古代林が再生に失敗している証拠が見つかった。原因はまだ研究中だが、気候変動が主な要因と考えられている。

ベネット氏はこう述べている。「気候変動はあらゆる種類の生物種にストレスを与えている。ほとんどの生物は、私たちが現在経験しているような環境で進化してこなかったのだ。」

A single mature oak tree can support more than 2,300 insect, fungi, bird and mammal species. But not when it is dead, and worrying preliminary research on Britain’s forests found evidence that many ancient woodlands are failing to regenerate. While the causes are still being studied, climate change is believed to be a major driver.

Says Bennett: “Climate change is causing stress for all kinds of species. Most have not evolved in the conditions we are now experiencing.”

引用:Wednesday briefing: How can the UK protect its landscape in an increasingly hot world?
https://www.theguardian.com/world/2026/jun/24/wednesday-briefing-how-can-the-uk-protect-its-landscape-in-an-increasingly-hot-world

推定800年から1000という木が枯れてしまったとのこと。自然のリズムも狂い始めている証拠です。

日本でも樹齢1000年を超える木々はありますが、それらが枯れると考えると悲しいです。私はネイチャーガイドのインターン時代に樹齢1000年を超えるミズナラの前にお客様を案内していました。言葉にできない対峙したときの感覚、圧倒的存在感は、時空を超えて今我々がすべきことを教えてくれたように思えます。

・私たちは後からやってきた人であること。
・その地に根をはり、静かに生きること。
・木というのは常に謙虚な姿勢であること
・派手さはないが、見えない地下で他の木々たちとコミュニケーションしていること

派手さはわかりやすく、注目を浴びますが、そういったものとは異なる世界。どんなにお金を積んでも、時間を短縮しても作ることはできない。樹齢1000年の木々の世界。日々の生活の積み重ねがあの圧倒的な存在感を作るのです。

それはまさしく、人間にもあてはまります。

私は、単なる1本の木の喪失ではなく、人類に「謙虚であれ」と静かに伝える役割の喪失であると捉えています。
それらの木々がなくなり、歴史の浅い建造物が建てられ、「使い捨て」のものに世界があふれたとき、人もまた「使い捨て」される。引いては、争いに繋がっていくのです。

2. 「守る」から「適応する」へ

The Wildlife Trusts の最高責任者 Craig Bennett 氏は、

これからは、

  • 湿地を増やして水を蓄える
  • 生きものが移動できる環境をつくる
  • 将来の気候に適応できる森林を育てる

といった視点が必要だと述べています。つまり、自然を昔の姿に戻すことだけではなく、未来の環境でも生き続けられる仕組みを考える時代に入っているのです。

3. 身近な自然にもできることがある

記事では、大規模な保全だけではなく、一人ひとりができる取り組みも紹介されています。

例えば、

  • 庭や畑に水場をつくる
  • 草を短く刈りすぎない
  • 木陰を残す
  • ツタや低木など、生きものの隠れ場所を確保する

こうした小さな工夫が、暑さに苦しむ昆虫や鳥、小動物の命を支えることにつながります。自然保護は、特別な活動だけではありません。日々の管理の仕方も、生きものたちにとって大切な環境づくりになります。

農に関わってから、世界を観察していると「雑草」の役割を再認識することなっています。今までは、親の価値観を継承し、「庭=雑草が生えてみっともない」という認識でした。しかし、実際に広く世界を捉えると、シロツメクサのような雑草が花になり、ミツバチを引き寄せていることにも気づきます。とはいえ、人の価値観「庭を綺麗に整えたい」という感情も見落とせません。

そこで考慮すべきなのは統合した落とし所。

・根こそぎ雑草をとる
・アスファルトで固める
・除草剤をまく

のではなく、草を短く刈るということ。背が高くなった草を刈り、その草を他の木々の根のまわりに敷いてあげること。有機物となり肥料になります。

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観省庵の視点

自然を守るとは、過去を取り戻すことだけではないのかもしれません。変わりゆく気候の中で、命が生き続けられる居場所を残していくこと。そのためには、昔と同じ管理を続けるだけではなく、自然の変化を観察し、ともに変わっていく柔軟さも必要なのだと思います。まさに、自然と人との関係性のアップデートです。支配や管理といったものを超えたもの。西洋の自然観とも異なった、道教・仏教由来の一体感(八百万の神)の思想。混沌とする世界の中で、人種差別が跋扈する世の中で、関係性をなめらかにほぐす役割をそれぞれが担うことが大切です。

P.S 「資本主義〜!」と感じる世の中の事象です。ブレーキを踏める役割が圧倒的に少ないなと日々思っています。
ゴーイングコンサーンの仕組みと決算報告の仕組みを疑うことなく運用している歪みでしょうかね。幸せの基準を変更できないままに、「明日の売り上げ」を作るために、「使い捨て」経済を選択している。

今日の省察

自然は、いつも同じ姿ではありません。だからこそ、私たちも「変わらないこと」にこだわるのではなく、変化の中で何を守るべきかを問い続ける必要があります。本当に守りたいのは、景色でしょうか。それとも、そこに息づく命のつながりでしょうか。人類に謙虚であれと伝えてくれる存在感でしょうか。

明日への問い

私は、過去の自然を守ろうとしているだろうか。それとも、未来の自然を育てようとしているだろうか。

両軸で考えていく必要があるということ。まさにリジェネラティブデザインと呼ばれる分野です。話が長くなるので留めますが、こういったキーワードは単なる横文字で終わらせるのではなく、日々の実践を通じて自然との接点を作ること。そしてその接点から関係性を深めていくこと。

自らが実践するのと同時に、これまで続けてきたマーケティングを自然に関わる団体様を通じて実践し、社会に自然コンテンツの接点の総量を増やしていく、その接点から生まれた「関係性を整える役割」を実践していきます。

私が用いる流域経営フレームワークは、まさに全体の生態系をみて考えるアプローチです。自分たちのこれまでやってきたことだけでなく、カオスの時代こそ、ミッション、ビジョン、バリューに即して今おきている目の前の事象の全体をみていくことが大切です。

点だけでのアプローチから脱却しましょう。

https://x.com/kanseian_/status/2069566585480863885

参考文献

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