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2026年環境パフォーマンス指数(EPI)とは?世界ランキングと日本16位の評価・課題を解説

2026.11.03
2026年環境パフォーマンス指数(EPI)とは?世界ランキングと日本16位の評価・課題を解説

2026年の環境パフォーマンス指数(EPI)が発表され、日本は世界177か国中16位となりました。世界1位はエストニア、2位はルクセンブルク、3位はイギリスです。上位10か国をヨーロッパ諸国が占めています。しかし、環境パフォーマンス指数は、単に「環境に優しい国」を決めるランキングではありません。

大気汚染、水資源、生物多様性、気候変動など、各国の環境に関する成果を複数の指標から評価するものです。

日本は総合16位ですが、分野別に見ると評価に大きな違いがあります。例えば、環境衛生では19位である一方、生物多様性・生息地では81位、農業では139位となっています。

環境パフォーマンス指数を理解するには、総合順位だけでなく、何が評価され、どの分野に課題があるのかを読み解くことが重要です。

この記事では、イェール大学が公開した2026年版の公式データをもとに、EPIの定義、評価方法、世界ランキング、日本の評価と課題、データを読む際の注意点を解説します。

環境パフォーマンス指数(EPI)とは?

環境パフォーマンス指数(Environmental Performance Index:EPI)とは、各国の環境に関する成果を複数の指標から評価し、国際比較できるようにした指数です。イェール大学の環境法・政策センターを中心に、コロンビア大学の研究者らと協力して作成されています。

2026年版では、177か国を対象に、47の指標と12のカテゴリーを用いて評価しています。評価の対象となるのは、大気汚染や飲料水の安全性といった人々の健康に関わる問題だけではありません。森林、生物多様性、水産資源、温室効果ガスの排出など、自然環境や気候変動に関する幅広い問題が含まれます。

イェール大学によるEPIの定義

2026年版EPIの公式サイトでは、各国が環境政策の目標にどの程度近づいているかを、国単位で評価する指標であると説明しています。また、EPIは環境問題を発見し、目標を設定し、変化を追跡し、政策の成果を理解するためのツールとして位置づけられています。つまり、EPIの目的はランキングを作ることだけではありません。

各国が環境政策の成果を確認し、改善すべき分野を明らかにすることにあります。

出典:Yale Center for Environmental Law & Policy, 2026 Environmental Performance Index
https://epi.yale.edu/

EPIはいつから発表されている?

EPIは2006年に始まり、現在は原則として2年ごとに公表されています。2026年版は、2024年版に続く評価です。ただし、評価指標や算出方法は更新されるため、異なる年のランキングを単純に比較することはできません。

2026年EPIの世界ランキング

2026年版EPIでは、エストニアが総合1位となりました。上位10か国は次のとおりです。

順位国スコア
1位エストニア74.79
2位ルクセンブルク74.24
3位イギリス71.51
4位フィンランド71.04
5位オランダ70.49
6位ドイツ69.93
7位フランス69.82
8位ノルウェー69.24
9位スウェーデン69.20
10位オーストリア66.80
16位日本63.15

出典:2026 Environmental Performance Index, EPI Results
https://www.epi.yale.edu/indicator/2026/EPI

なぜヨーロッパの国々が上位に多いのか?

2026年版EPIでは、上位10か国をすべてヨーロッパ諸国が占めています。イェール大学の解説によると、これらの国々では温室効果ガスの排出削減が総合評価に貢献しています。一方で、上位国であっても、農業による環境負荷などの課題を抱えています。つまり、総合順位が高いことは、すべての環境問題が解決されていることを意味しません。また、2026年版EPIでは、国の豊かさを示す1人当たりGDPとEPIスコアに比較的強い正の相関(r=0.69)が確認されています。ただし、同程度の所得水準であっても、環境評価には差があります。経済的な豊かさだけで環境パフォーマンスが決まるわけではないことにも注意が必要です。

2026年EPIは何を評価している?3つの政策目標と12カテゴリー

2026年版EPIでは、47の指標を12のカテゴリーに整理し、さらに3つの政策目標にまとめています。

政策目標総合評価に占める割合評価内容
環境衛生(Environmental Health)25%環境による健康リスク
生態系の健全性(Ecosystem Vitality)45%生物多様性や自然資源の状態
気候変動(Climate Change)30%温室効果ガス排出削減など

1. 環境衛生

環境衛生では、人々の健康に影響する環境リスクを評価します。

主なカテゴリーは次の4つです。

  • 大気質
  • 衛生・飲料水
  • 重金属
  • 廃棄物管理

例えば、大気汚染によって健康にどの程度の影響が生じているか、安全な飲料水を利用できるかなどが評価対象です。

2. 生態系の健全性

生態系の健全性では、自然環境がどの程度維持・保全されているかを評価します。

主なカテゴリーは次の7つです。

  • 生物多様性・生息地
  • 森林
  • 草地
  • 水産資源
  • 大気汚染物質の排出
  • 農業
  • 水資源

2026年版では、この政策目標が総合評価の45%を占めています。そのため、気候変動対策だけでなく、生物多様性や自然資源の管理も総合評価に大きく関わります。

3. 気候変動

気候変動では、温室効果ガスの排出動向や将来の排出見通しなどを評価します。二酸化炭素(CO2)、メタン(CH4)、一酸化二窒素(N2O)、フッ素系ガスなどが対象です。

2026年版では、気候変動が総合評価の30%を占めています。

日本は世界16位|2026年EPIの評価結果

2026年版EPIにおける日本の総合順位は177か国中16位、スコアは63.15点です。アジア太平洋地域の分類では1位となっています。ただし、分野別に見ると、日本の評価には大きな差があります。

日本の主要カテゴリー別ランキング

評価分野世界順位スコア
総合評価16位63.15
環境衛生19位81.54
生態系の健全性39位53.13
気候変動18位62.86
生物多様性・生息地81位45.10
森林41位26.77
水産資源83位48.43
農業139位39.25
水資源11位98.58

出典:2026 EPI, Japan Country Profile
https://epi.yale.edu/2026/results/country/JPN

この結果から、日本は環境衛生や水資源などで比較的高い評価を受けている一方、生物多様性や農業などでは課題が見られます。

日本の評価が高い分野

日本の水資源カテゴリーは11位、スコア98.58点です。このカテゴリーでは、排水処理に関する指標が評価されています。また、環境衛生は19位、スコア81.54点となっています。重金属カテゴリーでは、鉛への曝露による健康負担の指標で100点を獲得しています。ただし、環境衛生全体が高評価だからといって、大気汚染などの問題が存在しないわけではありません。例えば、二酸化窒素(NO2)への曝露による健康負担に関する指標では144位となっています。

日本の課題① 生物多様性・生息地は81位

日本の生物多様性・生息地カテゴリーは81位、45.10点です。特に注目したいのが、絶滅リスクを示すレッドリスト指数です。日本はこの指標で153位、16.13点となっています。レッドリスト指数は、評価対象となる生物種の絶滅リスクを示すものです。この数値は、日本の生物多様性の保全状況を考えるうえで重要な情報になります。また、陸域の重要な生物多様性地域(KBA)の保護に関する指標は141位です。一方で、陸域の生物群系の保護では22位となっており、保護地域に関する指標でも評価が分かれています。つまり、保護地域を設けることだけでなく、生物多様性にとって重要な場所が実際に守られているかを確認する必要があります。

日本の課題② 農業は139位

日本の農業カテゴリーは139位、39.25点です。特に評価が低い指標として、次のものがあります。

  • リンの余剰:164位
  • 農薬による汚染リスク:155位

これらの指標は、農業活動に伴う環境負荷を評価するものです。農業は食料生産を支える重要な産業ですが、肥料や農薬の使用は、水質や生態系などに影響する可能性があります。そのため、生産性だけでなく、環境負荷を抑えた農業のあり方を考えることが重要です。ただし、EPIの評価だけで日本の農業全体を「環境に悪い」と断定することは適切ではありません。指標が測定している対象や算出方法を確認し、具体的な課題を理解する必要があります。

日本の課題③ 森林と生態系の保全

日本の森林カテゴリーは41位、26.77点です。このカテゴリーでは、樹木被覆の減少などが評価されています。森林は二酸化炭素の吸収だけでなく、多様な生物の生息地としても重要です。また、森林の状態は水資源や土壌などとも関係しています。森林面積だけでなく、森林の質や生態系のつながりにも目を向ける必要があります。

2026年EPIのスコアはどのように計算される?

EPIでは、各指標を0〜100点に換算し、カテゴリーごとに重み付けして総合スコアを算出します。0点は設定された評価基準における低い水準、100点は望ましい目標水準を表します。例えば、ある環境指標について、最も望ましい基準値と最も望ましくない基準値を設定し、各国の実績がその間のどこに位置するかを計算します。

そのうえで、複数の指標を統合してカテゴリー別のスコアを算出します。ただし、指標によってデータの性質や計算方法は異なります。そのため、EPIのスコアは単純な割合ではありません。

例えば、63.15点だからといって、日本の環境問題の63.15%が解決されたという意味ではありません。

2024年版と2026年版の順位は比較できる?

EPIを読む際に、特に注意したい点があります。2024年版と2026年版の総合順位やスコアを、そのまま比較してはいけません。EPIでは、発表ごとに評価指標やデータ、重み付けなどが見直されます。

2026年版では、2024年版から19の指標が除外され、8つの指標が追加されています。

そのため、仮に順位が上がっていたとしても、必ずしも環境政策の成果が改善したことを意味しません。

イェール大学も、異なる版の総合スコアを時系列データとして比較することは適切ではないと説明しています。

環境パフォーマンスの変化を把握したい場合は、同じ評価方法で計算された過去のデータや、個別指標の時系列データを確認することが重要です。

2026年版の日本の総合スコアには、同じ評価体系で算出した約10年間の変化としてプラス7.25点が示されています。

これは2024年版とのスコア差ではありません。

EPIから日本の環境課題をどう読み解くべきか?

2026年版EPIから見えてくるのは、日本の環境評価には分野ごとに大きな違いがあるということです。水資源や一部の環境衛生指標では高い評価を受けていますが、生物多様性や農業に関する指標では改善の余地が見られます。ここで重要なのは、順位だけで課題を判断しないことです。

例えば、生物多様性・生息地の順位が81位であっても、その内訳には保護地域の面積、重要地域の保護、種の絶滅リスクなど、異なる性質の指標が含まれています。それぞれの指標を確認することで、どのような問題が存在しているのかを具体的に考えられます。

自然保護団体やNPO・NGOにとっての活用方法

自然保護団体やNPO・NGOにとって、EPIは活動の背景となる環境課題を説明するための参考資料になります。例えば、野鳥の保護に取り組む団体であれば、生物多様性や生息地に関する指標を活用し、日本全体の課題を紹介できます。

ただし、EPIは国単位の評価です。特定の地域や保護活動の成果を直接示すものではありません。地域の課題を説明する際には、環境省や自治体の調査、個別の生物種に関するデータなどを組み合わせる必要があります。

環境政策では何を測定するかが重要

EPIの特徴は、環境問題を複数の指標で可視化していることです。環境問題の解決を目指す際には、取り組みを実施したかどうかだけでなく、実際にどのような変化が生まれたかを確認する必要があります。例えば、自然保護活動では、保護地域の面積を増やすことだけでなく、生息環境が維持されているか、対象となる生物種の状態が改善しているかといった視点も重要です。EPIは、こうした成果指標の重要性を考えるうえでも参考になります。

2026年EPIに関するよくある質問

環境パフォーマンス指数(EPI)とは何ですか?

各国の環境に関する成果を複数の指標で評価し、国際比較できるようにした指数です。2026年版では、177か国を47の指標で評価しています。

2026年EPIの世界1位はどこの国ですか?

エストニアです。総合スコアは74.79点です。

2026年EPIで日本は何位ですか?

日本は177か国中16位で、総合スコアは63.15点です。

EPIはどこの機関が発表していますか?

イェール大学の環境法・政策センターを中心に、コロンビア大学の研究者らと協力して作成しています。

EPIは毎年発表されていますか?

現在は原則として2年ごとに発表されています。

EPIとSDGsは同じものですか?

同じものではありません。SDGsは、2030年までの持続可能な開発目標として国際的に合意された17の目標です。一方、EPIは各国の環境パフォーマンスを複数の指標から評価する指数です。環境に関する課題を扱う点では共通していますが、目的や評価方法が異なります。

まとめ|EPIは順位よりも個別指標を読み解くことが重要

2026年版の環境パフォーマンス指数(EPI)では、177か国を対象に47の指標で環境パフォーマンスが評価されました。日本は総合16位となっています。しかし、環境衛生や水資源では比較的高い評価を受ける一方、生物多様性や農業では課題が見られます。重要なのは、総合順位だけで環境政策の成果を判断しないことです。

何を評価しているのか、どの分野に課題があるのか、実際にどのような変化が起きているのかを、個別のデータから読み解く必要があります。

環境問題の解決に向けては、目標を掲げるだけでなく、成果を測定し、継続的に改善することが重要です。

観省庵について

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https://kanseian.earth

参考文献

  1. Wendling, Z. A., Emerson, J. W., Esty, D. C., de Sherbinin, A., Block, S., et al. (2026). 2026 Environmental Performance Index. Yale Center for Environmental Law & Policy.
    https://epi.yale.edu/
  2. Yale Center for Environmental Law & Policy. 2026 EPI Results.
    https://www.epi.yale.edu/indicator/2026/EPI
  3. Yale Center for Environmental Law & Policy. Japan Country Profile.
    https://epi.yale.edu/2026/results/country/JPN
  4. Yale Center for Environmental Law & Policy. 2026 Methodology.
    https://www.epi.yale.edu/2026-methodology
  5. Yale Center for Environmental Law & Policy. 2026 EPI FAQ.
    https://www.epi.yale.edu/faq/2026-epi-faq
  6. Yale School of the Environment. 2026 EPI: Climate Bright Spots but Slow Progress Globally.
    https://environment.yale.edu/news/article/2026-epi-climate-bright-spots-slow-progress-globally
  7. Yale Center for Environmental Law & Policy. 2026 EPI Downloads.
    https://epi.yale.edu/downloads/2026
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