IRは「Investor Relations(インベスター・リレーションズ)」の略。つまり、企業と投資家との関係づくりを意味する言葉です。
企業は決算情報や経営方針などを外部に発信することで、投資家に自社の現状や将来性を伝えます。それを受け取った投資家が「この企業の未来に期待したい」「応援したい」と感じれば、投資という行動につながっていきます。もちろん、決算書はそのための一つの手段にすぎません。投資家との信頼関係を築くためのコミュニケーション全般がIRです。
ただ、IRはその性質上、投資家との関係形成を中心に考えるものです。企業が成長し、資金を調達していくうえでは大切な活動です。でも、企業が関係を築くべき相手は、投資家だけなのでしょうか。
もっと広く、社会のさまざまな人たちと関係を築いてもいい。むしろ、そうあるべきではないかと思うのです。そこで考えたいのが、「愛あーる」という発想です。
マーケティングにはSTPという基本的な理論があります。セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニングの頭文字を取ったもので、市場を分け、対象を定め、自社の立ち位置を明確にする考え方です。
限られた経営資源を有効に使うためには、とても大切な理論です。ただし、私はその土台に「愛あーる」がなければいけないと思っています。
「誰に届けるか」を決めることと、「誰を大切にするか」を決めることは、同じではありません。
ターゲットを絞ることは、ターゲットから外れた人を切り捨てることではありません。その人たちのことを考えなくてよい、という意味でもありません。今は経営資源が限られているから、まずはこの人たちに届けよう。それは合理的な判断です。でも、その判断がいつの間にか、
「この人たちは、あまり来なくていい」
「この人たちは、私たちのお客様ではない」
という姿勢に変わってしまったら、寂しいです。
私たちが想定していなかった人が、思いがけない形で商品やサービスに価値を見いだしてくれることもあります。そこから新しい関係や可能性が生まれることもあるでしょう。だからこそ、届ける相手は絞っても、関係の可能性まで閉じない。
STPは、限られた資源をどこに向けるかを考えるためのもの。
「愛あーる」は、誰に対しても関係の可能性を開いておくための姿勢。
この順番を履き違えないことが大切なのだと思います。効率よく届けることと、広く人を大切にすること。その両方を考え続けるマーケティングでありたいですね。
愛あーる分析をしていきましょう。