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チャットボット戦略がうまくいかない理由|なぜユーザーは使わないのか?

2026.10.14  ·  更新: 2026.10.15
チャットボット戦略がうまくいかない理由|なぜユーザーは使わないのか?

Webサイトにチャットボットを導入したものの、思ったほど利用されない。問い合わせ対応の効率化やコンバージョン率の改善を期待していたのに、チャットボットを開く人が少なく、利用されても途中で離脱してしまう。

こうした課題を抱える企業もあるのではないでしょうか。

近年は生成AIの進化によって、自然な文章で質問に回答できるチャットボットが増えています。しかし、AIの性能が向上すれば、ユーザーが積極的に利用するようになるとは限りません。

チャットボット戦略で重要なのは、AIの回答性能を高めることだけではなく、ユーザーがどのような状況で、何を解決するためにチャットボットを使うのかを理解することです。

本記事では、最新の調査結果をもとに、ユーザーがチャットボットを使わない理由と、利用率や顧客体験を改善するための考え方を解説します。

チャットボットを使わない人は、なぜ存在するのか?

企業にとってチャットボットは、問い合わせ対応の効率化や24時間対応を実現する便利な仕組みです。しかし、企業側にとって便利であることと、ユーザーにとって使いやすいことは同じではありません。

例えば、ユーザーが商品の返品方法を知りたい場合、ホームページに手順がわかりやすく掲載されていれば、チャットボットを開く必要はありません。また、契約内容について個別に相談したい場合には、チャットボットよりも担当者に直接相談したいと考えるかもしれません。つまり、チャットボットが利用されない理由には、単に存在に気づかれていないだけでなく、ほかの方法で問題を解決できる、あるいは別の方法を選びたいという可能性があります。

企業のチャットボットより、外部の生成AIが選ばれる場合もある

Gartnerが2026年7月に公表した調査では、顧客がカスタマーサービス上の問題を解決する際、企業が提供するチャットボットよりも、外部の生成AIツールを利用する傾向が約3倍高いと報告されています。この調査は2026年2〜3月に実施され、BtoB・BtoCの顧客3,566人を対象としています。この結果は、生成AIが普及することと、企業サイト内のチャットボットが利用されることは別の問題であると示唆しています。ユーザーは、すでに使い慣れたAIサービスで情報を調べたり、企業のWebサイトに掲載された情報を直接確認したりすることもできます。企業がチャットボットを導入したからといって、ユーザーがそのチャットボットを使うとは限らないのです。

リアル接客を、WEB上でも・・とはという気持ちはわかりますが多くの場合スルーされることがほとんどです。

チャットボット戦略が失敗する5つの理由

理由1:ユーザーの目的よりも、企業の都合が優先されている

チャットボットの導入目的として、問い合わせ対応の削減や業務効率化が設定されることがあります。これらは企業にとって重要な目標です。しかし、ユーザーが求めているのは、問い合わせを減らすことではありません。自分が抱えている問題を、できるだけ簡単に解決することです。例えば、ユーザーが配送状況を確認したいと考えている場合、注文履歴ページに配送状況が表示されていれば、チャットボットを利用する必要はないでしょう。チャットボットを使わせることを目的にするのではなく、ユーザーが問題を解決するための選択肢として設計する必要があります。

日本でもCS業務で導入されていますが、私個人としてもレスポンスがうまくいかないうえに、聞きたいことがチャット欄にあがってこないことから結局問い合わせ経由で問い合わせすることも多いです。そして肝心の問い合わせ窓口は見つけづらく、「なぬー」と考えてAIに聞くとすんなりインデックスされている隠し扉を見つけてくれます。

理由2:チャットボットを使うメリットがわからない

Webサイトの右下にチャットボットのアイコンが表示されていても、それだけでは何ができるのかわかりません。「何でも質問してください」と表示されていても、ユーザーは何を質問すればよいか迷う場合があります。特に、すでに必要な情報を探している人にとっては、新たに質問文を入力することが負担になるかもしれません。

例えば、単なる「チャットで質問する」という案内よりも、次のように具体的な用途を示す方が、利用する理由を理解しやすくなります。

  • 注文状況を確認する
  • 自分に合った商品を探す
  • 料金プランの違いを調べる
  • 申込方法について質問する

ただし、文言を変えれば必ず利用率が上がるわけではありません。どのような用途が求められているかを確認し、必要に応じてABテストなどで検証することが大切です。

個人的な経験ですが、劇場ビジネス様のカスタマーサポートをHubSpotで構築・運用した際にチャットボットでよかったことは何に困っているかの回答が分かったことです。それをサポートコンテンツとして作ることで結果的にチャットではない方法でユーザは解決しました。

ユーザはチャット経由で解決したいのではなく、自分でしっかりコンテンツが探せて解決できればいいのです。

理由3:回答が信用できない

チャットボットが正確な回答を返すかどうかは、利用体験を左右する重要な要素です。特に、料金、契約、返品、支払いなどの情報については、誤った回答がユーザーに不利益を与える可能性があります。

2024年に学術誌『Journal of Retailing and Consumer Services』に掲載された研究では、チャットボットへの信頼と顧客満足度などの関係が検討されています。この研究では、チャットボットと人間による軽い介入を組み合わせた対応が、多くの評価項目で人間のみの対応に近い結果を示しました。重要なのは、AIだけで問題を解決しようとすることではありません。必要に応じて人間の担当者が対応できる仕組みも含めて、信頼できる顧客体験を設計することです。

海外のSEOツールであるahrefsのカスタマーサポートはまさにそれで、すぐに人が対応してくれリアルタイム接客でした。時間外は機械によるチャットでしたが履歴も引き継がれスムーズに問題を解決できました。

https://help.ahrefs.com/ja/?mtm_campaign=floating-help-btn

HubSpotのカスタマーサポートも人中心のチャットです。
人が対応してくれるときの安心さは必要であると考えます。

理由4:人間に相談したいときに相談できない

チャットボットが問い合わせの入口になっている場合、ユーザーが人間の担当者にたどり着けないことがあります。何度質問しても同じ回答が返ってきたり、解決できない問題について繰り返し質問を求められたりすると、ユーザーの負担が増えます。Gartnerが2026年8月に公表した調査では、顧客の87%が、企業が生成AIをカスタマーサービスに利用する場合、人間の担当者にアクセスできる選択肢が不可欠だと回答しています。これは、AIの利用そのものが拒否されているという意味ではありません。むしろ、AIを便利に使いたい一方で、必要なときには人間に相談できることが求められていると考えられます。チャットボットは、人間によるサポートを妨げる壁ではなく、適切な解決方法へ案内する入口として設計することが重要です。

理由5:利用率だけで成果を判断している

チャットボットの成果指標として、起動数や会話数、利用率が設定されることがあります。もちろん、これらの数字は利用状況を把握するうえで役立ちます。しかし、利用率が高いことが、必ずしも良い顧客体験を意味するわけではありません。例えば、ホームページの情報がわかりにくいために、ユーザーが仕方なくチャットボットを使っている可能性もあります。反対に、よくある質問のページが改善され、ユーザーが自分で問題を解決できるようになった結果、チャットボットの利用率が下がることも考えられます。そのため、チャットボットの成果は、利用率だけでなく、問題解決率や顧客満足度、問い合わせ完了までの負担などを含めて評価する必要があります。

先ほどの私の企業様の導入事例でもそうでしたので納得のまとめです。

AI概要の研究から考える「ユーザーは必ずしもクリックしない」という事実

ここで、Google検索のAI概要に関する研究を紹介します。Pew Research Centerが2025年7月に公表した調査では、AI概要が表示された検索結果では、通常の検索結果リンクをクリックする割合が8%だったのに対し、AI概要が表示されなかった検索では15%でした。また、AI概要内の引用リンクがクリックされた割合は約1%でした。この調査は、米国の成人900人のブラウジングデータをもとにしたもので、企業のチャットボット利用率を直接調べたものではありません。しかし、ユーザー体験を考えるうえで参考になる視点があります。それは、ユーザーが求めているのは、必ずしもクリックや対話そのものではなく、必要な情報を得ることだという点です。例えば、検索結果に必要な情報が表示されれば、Webサイトを開く必要がない場合があります。同じように、Webサイトに必要な情報が整理されていれば、チャットボットを使わずに問題を解決できるかもしれません。

ただし、これは二つの異なるサービスに関する類推であり、AI概要の調査からチャットボットの非利用理由が実証されたわけではありません。チャットボット戦略を考える際には、利用させることを目標にするのではなく、ユーザーが問題を解決できたかを重視する必要があります。

チャットボットを使う人・使わない人をどう理解するか

チャットボットの利用を改善するには、利用者だけでなく、利用しなかった人の行動も確認する必要があります。例えば、次のように整理できます。

ユーザーの状況想定される行動改善の方向性
すぐに答えが知りたいFAQや検索を利用する必要な情報を見つけやすくする
自分に合う商品を探したい比較表や診断を利用する条件整理・商品提案を支援する
複雑な相談をしたい担当者に問い合わせる人間への引き継ぎを用意する
チャットボットを信用していない利用を避ける回答根拠や対応範囲を明示する
何を質問できるかわからないチャットを開かない具体的な利用例を提示する

これはユーザー行動を考えるための仮説モデルです。実際には、GA4の行動データ、チャットログ、アンケート、ユーザーインタビューなどを組み合わせて確認します。

チャットボット戦略を改善するための5つのステップ

STEP1:チャットボットを使うべき場面を決める

まず、チャットボットがどのような課題を解決するのかを明確にします。例えば、商品選びの相談、配送状況の確認、よくある質問への回答などです。すべての問い合わせをチャットボットで対応する必要はありません。

STEP2:チャットボット以外の選択肢も整理する

ユーザーが必要な情報にアクセスする方法には、FAQ、サイト内検索、比較表、問い合わせフォーム、電話などがあります。どの方法が最も負担なく問題を解決できるかを考えます。
あくまでも一つの手段であり、シンプルにユーザが解決できるに越したことはありません。

STEP3:利用前の期待値を明確にする

チャットボットで何ができるのか、どのような質問に対応しているのかを示します。また、対応できない内容については、人間の担当者へ相談できることを明示するとよいでしょう。

STEP4:GA4で利用状況を計測する

チャットボットの利用状況を把握するために、例えば次のイベントを設計します。

イベント名の例計測する行動
chatbot_openチャットボットを開いた
chatbot_message_sent質問を送信した
chatbot_answer_shown回答が表示された
chatbot_handoff人間の担当者へ引き継いだ
chatbot_resolution_confirmedユーザーが解決を確認した

これらはGA4の標準イベントではなく、独自に実装するカスタムイベント名の例です。また、個人情報や問い合わせ本文を不用意にGA4へ送信しないよう注意が必要です。HubSpotのようなツールであればデフォルトでツール側で指標や計測ができ改善施策を回せます。

STEP5:利用率ではなく問題解決を評価する

最後に、チャットボットを利用した人が、実際に問題を解決できたかを確認します。

例えば、次の指標が考えられます。

  • チャットボット起動率
  • 質問送信率
  • 問題解決率
  • 人間への引き継ぎ率
  • 顧客満足度
  • 問い合わせ完了までの時間

特に問題解決率は、単に会話が終了したことをもって解決と判断しないようにする必要があります。ユーザーによる解決確認や、問い合わせの再発状況なども参考にするとよいでしょう。

チャットボットは本当に必要なのか?

ここまでの内容を踏まえると、チャットボットの導入前に確認すべき問いがあります。

「チャットボットがなければ、ユーザーは何に困るのか?」

この問いに明確に答えられない場合、チャットボットの導入よりも、ホームページの情報整理やFAQの改善を優先した方がよいかもしれません。反対に、ユーザーごとに異なる条件を整理する必要がある場合や、複数の情報を組み合わせて案内する必要がある場合には、チャットボットが役立つ可能性があります。

大切なのは、AIを導入すること自体ではなく、ユーザーが抱える問題を解決することです。

観省庵が考えるチャットボット戦略

観省庵では、「観察×内省×実践」を大切にしています。チャットボット戦略でも、まずユーザーが何を求めているのかを観察することから始めます。次に、なぜチャットボットが使われないのか、あるいは使われても問題が解決しないのかを考えます。そして、必要な場面にチャットボットを配置し、利用前の案内や回答内容、問い合わせ導線を改善します。チャットボットの利用率を高めることだけが目的ではありません。

ユーザーがより簡単に問題を解決できる状態をつくることが重要です。

観省庵では、GA4を活用した行動分析、CRO、Webサイトの導線改善などを中心に、デジタルマーケティングの改善を支援しています。チャットボットを含むWebサイトの顧客体験やコンバージョン改善についてお悩みの場合は、ご相談ください。

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まとめ|チャットボットを使わせることが目的ではない

チャットボット戦略がうまくいかない理由は、AIの回答性能だけにあるとは限りません。ユーザーがチャットボットを使う必要性を感じていない場合や、ほかの方法で問題を解決したいと考えている場合もあります。

そのため、チャットボット戦略では、次の3つが重要です。

  1. ユーザーがどのような問題を解決したいのかを理解する。
  2. チャットボットが役立つ場面と、役立たない場面を区別する。
  3. 利用率ではなく、問題解決や顧客体験への貢献を評価する。

AIの性能が進化しても、ユーザーが求めているのはAIとの会話そのものではありません。必要なときに、必要な情報や支援を得られること。その目的から逆算してチャットボットを設計することが、これからのチャットボット戦略に求められるのではないでしょうか。

参考文献

  1. Gartner(2026年7月8日)
    Gartner Survey Finds Customers Are 3x More Likely to Use Third-Party GenAI Than Company-Provided Chatbots for Customer Service
    https://www.gartner.com/en/newsroom/press-releases/2026-07-08-gartner-survey-finds-customers-are-three-times-more-likely-to-use-third-party-genai-than-company-provided-chatbots-for-customer-service
  2. Gartner(2026年8月4日)
    Gartner Survey Finds 87% of Customers Say Companies Using GenAI for Customer Service Must Provide Access to a Human Agent
    https://www.gartner.com/en/newsroom/press-releases/2026-08-04-gartner-survey-finds-87-percent-of-customers-say-companies-using-genai-for-customer-service-must-provide-access-to-a-human-agent0
  3. Gartner(2026年9月2日)
    Gartner Survey Finds Only 27% of Customers Would Try a Chatbot Again After a Negative Experience
    https://www.gartner.com/en/newsroom/press-releases/2026-09-02-gartner-finds-only-27-percent-of-customers-would-try-a-chatbot-again-after-a-negative-experience
  4. Pew Research Center(2025年7月22日)
    Google users are less likely to click on links when an AI summary appears in the results
    https://www.pewresearch.org/short-reads/2025/07/22/google-users-are-less-likely-to-click-on-links-when-an-ai-summary-appears-in-the-results/
  5. Journal of Retailing and Consumer Services(2024年)
    Can chatbot customer service match human service agents on customer satisfaction? An investigation in the role of trust
    https://doi.org/10.1016/j.jretconser.2023.103600
  6. Qualtrics XM Institute(2025年)
    Consumer Channel Preferences and Priorities, 2025
    https://www.qualtrics.com/research/consumer-channel-preferences-priorities-2025/
  7. チャットボットの仕組みとは?主な種類と会話を成立させる要素を図解で紹介(HubSpot)
    https://blog.hubspot.jp/marketing/chatbot-structure
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