検索順位は変わっていないのに、Webサイトへのアクセスが減っている。あるいは、Google Search Consoleで検索結果の表示回数は増えているのに、クリック数が思うように伸びない。
こうした現象の背景として、近年注目されているのが「ゼロクリック検索」です。Googleの検索結果には、AIによる概要(AI Overviews)をはじめ、検索結果の画面上で疑問を解決できる機能が増えています。検索する人にとっては便利な変化ですが、企業のWebサイト運営者にとっては、これまでのSEO戦略を見直すきっかけにもなっています。
では、検索結果からWebサイトに訪問しない人が増える時代に、企業は何をすべきなのでしょうか。
結論からいえば、これからのSEOでは「検索流入を増やすこと」だけでなく、「検索結果やAIの回答を通じて認知され、信頼され、最終的に選ばれること(必要な時に思い出されること)」が重要になります。
本記事では、ゼロクリック検索が広がる背景と、企業が取り組むべきSEO・コンテンツ戦略、効果測定の考え方を解説します。
ゼロクリック検索とは?Webサイトを訪問せずに検索が終わること
ゼロクリック検索とは、検索した人が検索結果に表示されたWebサイトなどをクリックせずに、検索行動を終えることを指します。例えば、「北海道の天気」と検索したとき、検索結果に人口が直接表示されれば、わざわざ別のWebサイトを開く必要はありません。ほかにも、人口、為替、計算、言葉の意味など、簡単な情報は検索結果の画面だけで確認できることがあります。こうした仕組みは、AIが普及する以前から存在していました。
しかし、AI Overviewsなどの登場によって、複数のWebサイトを読まなければわからなかった質問にも、検索結果の画面上で回答が示されるようになっています。

あなたが天気サイトの運営者だったらどうでしょうか。
この概要があることで1位であってもサイトの流入は減ります。2位以降はなおさらで熾烈な争いである
サービスだと思っています。
AIOverviewしたの1位はウェザーニュース>Yahoo天気>tenki.jpです。
どれも差別化が難しく難儀しそうです。

Google検索の約6割がゼロクリックという調査も
SparkToroとDatosによる2026の調査では、Google検索の実に68.01%がクリックなしで終了されたことが報告されています。ただし、この数値は米国・EUの調査結果であり、日本のGoogle検索全体を表すものではありません。また、検索を終了したケースだけでなく、検索語句を変更したケースなども含まれます。ゼロクリックのすべてが、AIによって引き起こされているわけではない点にも注意が必要です。


AI Overviewsが表示されるとクリック率は低下するのか
Pew Research Centerは2025年7月、米国の成人900人のブラウジングデータを使った分析結果を公表しました。この調査では、Google検索でAIによる概要が表示された場合と、表示されなかった場合で、検索結果のリンクをクリックする割合に違いが見られました。
| 検索結果の状態 | 通常の検索結果リンクのクリック割合 |
|---|---|
| AIによる概要が表示された検索 | 8% |
| AIによる概要が表示されなかった検索 | 15% |
さらに、AIによる概要内の引用リンクがクリックされた割合は、約1%でした。この結果は、AIによる概要が表示される検索では、従来のWebサイトへのクリックが少なくなる傾向を示しています。ただし、これは観察調査であり、AIの表示だけがクリック率低下の原因だと断定できるものではありません。検索内容やユーザーの目的の違いも影響している可能性があります。それでも、企業が検索流入だけを成果として評価することには、限界が生まれつつあると考えられます。
ゼロクリック時代にSEOは不要になるのか?
では、Webサイトへのクリックが減るのであれば、SEO対策は不要になるのでしょうか。私は、そうは考えていません。むしろ、SEOの役割を改めて整理する必要があると考えています。従来のSEOでは、検索順位を高め、検索結果からWebサイトへの訪問を増やすことが重要な目標でした。もちろん、現在も検索流入は大切です。しかし、検索結果の画面上で情報が消費される機会が増えると、検索順位やクリック数だけでは、企業の情報がどの程度ユーザーに届いているのかを十分に把握できなくなります。
SEOの目的はアクセス数を増やすことだけではない
例えば、ある企業が専門的な調査結果を公開したとします。その情報が検索結果やAIの回答で紹介され、ユーザーが企業名を知ったとしても、その場でWebサイトを訪問するとは限りません。後日、その企業名を検索したり、別の経路から問い合わせたりする可能性があります。このような間接的な影響は、通常のアクセス解析だけでは把握しにくいものです。
だからこそ、これからのSEOでは、検索結果からの流入に加えて、認知や信頼の形成、指名検索、問い合わせといった成果を考える必要があります。ただし、検索結果で表示されたことが、必ずしも認知や信頼につながるわけではありません。検索結果での露出と、その後のユーザー行動を分けて評価することが重要です。
ゼロクリック時代に企業が取り組むべき5つのこと
1. 他のWebサイトでは得られない一次情報を発信する
ゼロクリック時代に、まず重要になるのが情報の独自性です。例えば、「GA4とは何か」「SEOとは何か」といった一般的な知識は、多くのWebサイトで解説されています。こうした情報は、AIによって要約されやすい内容でもあります。一方で、企業が実際に行った調査、実験、改善活動、現場で得た知見などは、その企業ならではの情報です。
例えば、次のようなコンテンツが考えられます。
- 自社で実施したABテストの結果
- GA4の分析から発見した課題と改善プロセス
- 顧客へのインタビューで明らかになったニーズ
- 独自に集計した業界データ
- 実際の事業運営から得た成功・失敗事例
こうした情報は、単なる用語解説よりも、読者が実際の判断に活用しやすいものです。ただし、独自情報を公開すれば必ずAIに引用されるというわけではありません。大切なのは、ユーザーにとって役立つ情報を、根拠とともにわかりやすく発信することです。
2. 誰が発信している情報なのかを明確にする
AIが一般的な情報を生成できる時代だからこそ、情報の発信者も重要になります。例えば、Webマーケティングの改善方法を調べている人にとって、実際に企業のデータ分析やサイト改善を経験している人の解説は、判断材料の一つになるでしょう。
そのため、企業のWebサイトでは、次のような情報を整理しておくことをおすすめします。
- 執筆者・監修者のプロフィール
- 専門分野や実務経験
- 支援実績や事例
- 参考文献・情報源
- 記事の公開日・更新日
ただし、著者情報を掲載するだけで検索順位が上がるわけではありません。重要なのは、記事の内容そのものが正確で、専門性や経験に裏づけられており、ユーザの体験が良いことです。
3. 検索意図に応じてコンテンツの役割を分ける
すべての記事でWebサイトへのクリックを最大化しようとする必要はありません。検索する人の目的によって、必要な情報や行動が異なるためです。例えば、次のように整理できます。
| 検索意図 | 検索キーワード例 | コンテンツの役割 |
|---|---|---|
| 知識を得たい | GA4とは | 基本情報を伝える |
| 方法を知りたい | GA4 コンバージョン 設定方法 | 具体的な手順を説明する |
| 比較したい | GA4 コンサル 比較 | 判断基準を示す |
| 依頼したい | GA4 分析 支援 | サービス内容を伝える |
| 指名して探す | 企業名 サービス名 | 信頼できる公式情報を提供する |
特に、外部の専門家への依頼や商品の購入を検討している人は、費用、実績、契約条件、他社との違いなどを確認する必要があります。こうした検索では、AIの回答だけで意思決定が完結するとは限りません。一般的な知識を説明する記事と、具体的な判断を支援する記事では、異なる役割を持たせることが重要です。
4. SEOだけでなく、複数の接点で関係を育てる
検索結果で企業を知った人が、その場でWebサイトを訪問しないこともあります。そのため、検索からの訪問だけに依存しない関係づくりも重要です。
例えば、Webサイトの記事、SNS、ニュースレター、セミナーなどを組み合わせる方法があります。ただし、すべてのチャネルを運用する必要はありません。企業の顧客がどこで情報を集め、どのように比較・検討しているかを考え、適切な接点を選ぶことが大切です。
例えば、専門的なBtoBサービスであれば、検索から解説記事を読み、実績を確認し、後日問い合わせるといった行動が考えられます。一方、地域の小規模事業では、SNSで商品を知り、店舗やECサイトで購入する流れも考えられるでしょう。重要なのは、検索、SNS、メールを個別の施策として考えるのではなく、顧客との関係を育てる一連の接点として捉えることです。
5. アクセス数だけでなく、認知・信頼・成果を測定する
ゼロクリック時代には、SEOの評価指標も見直す必要があります。従来の検索順位、クリック数、自然検索セッション数は、引き続き重要です。しかし、それだけでは十分ではありません。例えば、次のような指標を組み合わせて評価します。
| 評価領域 | KPI例 | 主な確認方法 |
|---|---|---|
| 検索での露出 | 表示回数、掲載順位 | Search Console |
| サイト訪問 | 自然検索クリック数、セッション数 | Search Console、GA4 |
| 指名・認知 | ブランド名を含む検索クエリ | Search Console |
| AI検索での露出 | 指定した質問での言及・引用状況 | 定点調査 |
| サイト内の検討 | サービスページ遷移率 | GA4 |
| 事業成果 | 問い合わせ、商談、受注 | GA4、CRM |
ここで注意したいのは、AI検索での言及率や引用率について、すべてのAIサービスを網羅的に測定できる共通の指標が確立しているわけではないことです。また、AIの回答は質問の仕方や利用環境によって変わる場合があります。そのため、AI検索での露出は、調査対象の質問、利用したサービス、調査日時、判定方法を定めて定点観測することが重要です。
指名検索の増加についても、SEOやAI検索だけの成果とは限りません。広告、SNS、口コミ、メディア掲載など、複数の要因が影響します。なのでチャネル全体として統合評価する術も重要です。
ゼロクリック時代のSEOとAI検索対策は何が違う?
近年、SEOに加えて、AEO(Answer Engine Optimization)やGEO(Generative Engine Optimization)、LLMO(Large Language Model Optimization)といった言葉も使われるようになっています。これらは一般に、AIによる回答や生成型検索で情報が扱われることを意識した最適化の文脈で使われています。
ただし、用語や評価方法には統一されていない部分もあります。Googleは、AI OverviewsやAI Modeへの掲載について、従来のSEOの基本的なベストプラクティスが引き続き重要であり、特別な追加要件はないと説明しています。具体的には、検索エンジンがアクセスできるサイト構造、役立つ独自コンテンツ、内部リンク、適切なページ体験などです。つまり、AI検索対策という名前で、まったく別の施策を始める必要があるとは限りません。
まずは、ユーザーに役立つ情報を作り、検索エンジンが正しく理解できる状態にすることが基本になります。そのうえで、企業やサービスの情報が正確に伝わっているか、検索結果やAIの回答でどのように扱われているかを確認するとよいでしょう。
ゼロクリック時代のSEO戦略をどう設計するか
ここまでの内容を踏まえると、企業のSEO戦略は次の3つの役割に分けて考えられます。
1. 見つけてもらう
検索結果やAIによる回答などを通じて、企業やサービスの存在を知ってもらう段階です。この段階では、検索結果の表示回数、関連する検索キーワード、AI検索での言及状況などを確認します。コンテンツは自分が寝ている間にも活動してくれるため引き続き作成は必要です。
2. 信頼してもらう
企業が提供する情報や専門性を理解し、比較検討の対象として認識してもらう段階です。独自の調査結果、実績、専門的な解説、顧客事例などが役立ちます。このあたりは今後個人で顔出しをしている人に優位性がでてきそうだと思いました。会社であればスタッフの顔やスキル、実績が見えるなど。
私のご支援させていただいた事例でも地方の中小企業の会社様で会社概要ページの見直しとそこからのスタッフ・サービス導線作りだけでも問い合わせが増えたケースがあります。「この会社どんな会社?」と思ったユーザに対してどのような印象をもってもらうか設計して導線をつくっていきましょう。顔が見える状態が重要になります。
3. 選んでもらう
問い合わせ、資料請求、購入、契約など、具体的な行動につなげる段階です。サービス内容、費用、導入までの流れ、他社との違いなどを明確にし、意思決定を支援します。この3つの段階は、必ずしも一直線に進むものではありません。検索で企業を知った後、SNSで情報を確認し、後日指名検索をして問い合わせる場合もあります。だからこそ、検索流入だけでなく、顧客との関係全体を考えることが必要で、それを考えるにあたって何が行動のフリクション(摩擦)となっているのかの特定が大事です。
詳しくは、下記記事も参考にしてください
ウェブサイト改善に役立つCREATEアクションファネルとは?行動科学のフレームワークで考える
4.思い出してもらう
ウェブサイトへの訪問を必要とせずに、影響力を獲得し、ブランド認知度を高めることで結果的に
顧客のタイミングで「XXX」を見てみよう、お願いしてみよう〜!〜使ってみよう〜という状態
にもっていくことです。
観省庵が考えるゼロクリック時代のマーケティング
観省庵では、「観察×内省×実践」を大切にしています。ゼロクリック時代のSEOにも、この考え方が重要だと考えています。まず、検索順位やアクセス数だけでなく、検索結果での露出や問い合わせなど、現在起きている変化を観察します。次に、その変化がなぜ起きているのかを考えます。AIによる概要の影響なのか、検索需要の変化なのか、競合コンテンツの充実なのか。データからわかることと、まだ検証が必要な仮説を区別します。そして、独自コンテンツの充実、サービスページの改善、検索意図に応じた導線設計など、必要な施策を実践します。
重要なのは、新しい技術や手法が登場するたびに、流行の施策へ飛びつくことではありません。
自社の顧客がどのように情報を探し、何を判断材料として、最終的に自社を選ぶのか。その変化を観察し続けることが、これからのマーケティングに必要だと考えています。
観省庵では、SEO、GA4、データ分析、Webサイトの改善などを中心に、企業のデジタルマーケティングを継続的に支援しています。検索流入の変化や、SEO施策の優先順位、コンバージョン改善についてお悩みの場合は、お気軽にご相談ください。
まとめ|ゼロクリック時代に必要なのは、クリックの先にある価値を考えること
ゼロクリック検索の増加は、企業のWebマーケティングに新たな課題をもたらしています。検索結果やAIの回答で情報を得られるようになったことで、従来のように検索順位やアクセス数だけで成果を評価することは難しくなりつつあります。しかし、これはSEOが不要になったという意味ではありません。むしろ、SEOを単なる集客手段としてではなく、顧客との関係をつくる活動として捉え直す機会だと考えています。
これから企業が重視すべきことは、次の3つです。(いままでもそうだったはずですが、より意識されていることです)
- 独自の価値を持つ情報を生成し、発信すること。
- 検索結果やAIの回答を含め、顧客との接点と気持ちい体験ができるよう道を整えること
- アクセス数だけでなく、認知・信頼・問い合わせ・受注まで評価すること。
検索結果からのクリックが減ったとしても、企業が提供する価値そのものがなくなるわけではありません。これから問われるのは、どれだけクリックされたかだけでなく、誰に、どのような価値を届け、最終的にどのような関係を築けたかということではないでしょうか。
最後にですが、私たちは計測できている指標だけに縛られがちです。指標は絶対視するものではなく、体験を改善するための材料とすべきで最後は、人に実際に聞くなどユーザとの接触が必要になってくるはずです。
参考文献
- SparkToro / Datos(2024)
2024 Zero-Click Search Study
https://sparktoro.com/blog/2024-zero-click-search-study-for-every-1000-us-google-searches-only-374-clicks-go-to-the-open-web-in-the-eu-its-360/ - Pew Research Center(2025年7月22日)
Google users are less likely to click on links when an AI summary appears in the results
https://www.pewresearch.org/short-reads/2025/07/22/google-users-are-less-likely-to-click-on-links-when-an-ai-summary-appears-in-the-results/ - Google 検索セントラル
「AI 機能とウェブサイト」
https://developers.google.com/search/docs/appearance/ai-features?hl=ja - Google 検索セントラル(2026年5月)
A new resource for optimizing for generative AI in Google Search
https://developers.google.com/search/blog/2026/05/a-new-resource-for-optimizing - Google 検索セントラル
「検索エンジン最適化(SEO)スターターガイド」
https://developers.google.com/search/docs/fundamentals/seo-starter-guide?hl=ja - 生成AIパフォーマンス レポート(検索)
https://support.google.com/webmasters/answer/16984139?hl=ja
